VS変態エルフ
【アスリワープ先】
アスリは飛ばされた先にいる敵を見ていて気づいた事があった。エルフ特有の横に長い耳が仮面から飛び出ているのだ。つまり近くで見るとエルフ族という事がバレバレであった。
「お前……エルフ族だったのか。」
「あら、よく見抜いたのね。」
「いや、耳でバレバレだったが。」
「う、うるさいっ!仕方ないでしょ!!バレバレってわかっててもテラローシャが付けろっていうから付けてたのよ!!もう要らない!こんな面!」
敵が面を捨てると、そこに現れたのは確かにエルフ族であった。しかし髪は黒く肌は褐色。すなわちダークエルフだったのである。
「ふん、ダークエルフだったのか。」
「そうよ。私はエン・ヤリフ。名前は聞いた事あるでしょう?」
「エン・ヤリフだと?名前を聞いた事があるも何も今のハイエルフとダークエルフの微妙に気まずい関係を作ったのは他でもないお前ではないか!」
「ふふふ、あら、ごめんなさい?だって仕方ないじゃない、欲しくなっちゃったんだもの。他の人の者が。」
「お前がハイエルフの女の恋人を誘惑して奪った挙句、飽きて捨てるという事を繰り返したせいで、ダークエルフはビッチという風潮が流れ始め、神聖なエルフの族長にダークエルフは無理となって長年ハイエルフが族長をやってきたんだぞ!」
「まあ良いじゃない、アンタはハイエルフなんだしそこまで気にしなくても。」
「それはそうだが……そのせいでこの前かつてのお前の逆バージョンのような事が起こり、今度はダークエルフが独立しようとしたんだ。まああれはダークエルフの男が悪いが……。関係なくはない。」
「へえ、独立しようとしたんだ。まぁでも男なんてどうせ軟弱ばっかでしょう?私も人の彼氏奪いとっても全然その男が男らしくなくてすぐ飽きちゃったもの……。」
アスリは男が軟弱だというところに非常に共感していた。だからこそ男が嫌いでありヤマトの事も助けられるまでは毒にやられた自分は見捨てられると思っていたのだ。
「確かに軟弱な男は多いが……そうでない男も、いる。や、ヤマトとかな。ふふっ。」
「へえ、アンタあの勇者に本気で惚れてんだ。他種族嫌いのハイエルフが珍しいわね。興味出てきた、奪っちゃおうかな〜〜ヤマトくん。」
アスリはその言葉で敵意をむき出しにし、矢を放って攻撃した。エンはそれをサラリとかわし矢を放ってきたため、アスリもかわした。そして弓矢の激しい打ち合いとなった。
「ふん。お前にヤマトが落とせるわけがない!ぐ!」
「男なんて私のエロエロボディで誘惑したらホイホイ引っかかるわよ。まぁ触らした事なんてないけど、見せるだけで十分だわ!んっ♡」
「まぁヤマトがそういうのに弱いのは知っているが、それでもヤマトはそんな簡単な男ではない!うっ。」
「今にわかるわよ。そんな夢は幻想だってね!あっ♡」
アスリはとんでもない違和感を感じていた。それはエンが攻撃が当たるたびにいやらしい声をあげていることだ。そして、アスリは自分がそうであるため、すぐに答えにたどり着いた。
「貴様、さては……変態マゾだな!?」
「な、ななな何言ってるのよ!!そんなわけないでしょ!!ふざけないでよね!!」
「だったらコレはどうだ!!発現!アイス!」
アスリは矢でエンは誘導し、狙っていた場所で氷状の魔法を使いエンに急接近し背後をとった。そしてそのまま手のひらで思いっきり尻をぶっ叩いた。
「あっ♡ああああああああ!!♡」
「やはりな………。」
「はあはあはあ…♡。はっ!!ち、違うわ、よっ!」
「ひゃん!!」
「え?」
エンは尻を叩かれた腹いせにアスリの尻を叩いた。するとアスリの気丈な顔からは想像できない乙女らしい声が出てきたのである。
「ふ、ふふふ。そういう事か!貴様もマゾだな!!」
「そ、そんな事はな、あぁん!」
「ほらみろ!!あっ♡」
2人して弓矢と能力を駆使し互いの背後を取り合い、尻をぶっ叩くというどこからどう見ても異常な空間が出来上がっていた。そして2人は疲れ果て、あと一撃しか攻撃ができない状態までなっていた。
「はぁはぁ……次が最後の攻撃になるな…。」
「ふぅふぅ……そうみたいね。」
2人は走り出し、互いに拳を突き出した。そして、アスリの拳が先にエンを捉え、エンは地面に仰向けに倒れこんだ、その瞬間身体から黒い球体が飛び出しどこかへ行ってしまった。そしてアスリも精魂使い果たし仰向けに倒れた。
「ガハッ……。もう一歩も動けない。私の負けね……。トドメを刺しなさい。」
「はぁはぁ……その前にお前の死因はなんだったんだ?」
「……単純よ、奪った男の彼女に不意打ちで殺されたのよ。」
「嫌な死に方だな……。」
「私は、後悔したわ。結局奪ってきた男どもは情けないし、こんな事なら他種族にもっと手を出せばよかったってね。」
「他種族は他種族で横暴な奴などが多い。私が今まで旅してきた中でいい男など、ヤマトしかいなかったぞ。」
「本当にヤマトくんに惚れてるのね。わ、私もヤマトくんに会ってれば良かったのかしら?まぁ昔の話だから無理だけども」
「ふん、ならば今からでも会ってみるか?」
「え?」
「ふん。勘違いするなよ。私はお前を助けるわけじゃない。世の中には良い男もいるという事を教えたいだけだ。」
「ふふふ、そう。ありがとう。貴女、名前なんていうの?」
「アスリだ。」
「そうアスリ、よろしくね。」
ここに変態同士による奇妙な友情が誕生したのであった。




