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壱果の父上はムテキング  作者: 巳ノ星 壱果


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8/8

番外編 マルチリンガルな兄貴はムテキング

 実は、兄貴もムテキングだ。

 しかも父上と同じマルチリンガルという、厄介なタイプである。


 私が最も苦手なもの、

 それは、身内にいる兄だ。

 嫌いな食べ物よりも苦手なのが兄である。


 私とは似ても似つかない性格の持ち主である。


 兄はよく「性格がいいね」と言われるらしい

 イ〇スタグラムのフォロワーも、それなりにいるようだ。


 一方の私は、鍵垢で一桁。

 こんな拡散される社会で、自分の日常の写真なんて載せたくないのが私である。


 この時点で、住んでいる世界が違う。

 本当に血が繋がっているのか?と疑うこともある。


 だが、欠点がある。


 兄は、とにかく外面がいい。

 驚くほどに外面がいい。


 私は媚びない。

 媚びる時間ほど、人生において無駄なものはないと思っているからだ。


 兄のどこを切り取れば「性格がいい」になるのかは、正直わからない。

 自信家で、そして努力家。


 認めたくないほどに悔しいが、アニキもムテキングなのである。


 だが、忘れてはならない


 高校生の頃、靴下がないと思ったら兄が履いていたことがある。

 そのくらい雑なのである。


 どれだけ外面が良くても、中身はこうだ。


 そして兄は、昔から私を見下している


 私は高卒である。


 だが、そんなことはどうでもいい。

 見ての通り私は、何も気にしないという特技を持ったムテキングに仕上がってしまっている。


 ある日、実家で兄に出くわしてしまった。




「お前、小卒だろ」




 そう言われた。


 私は一瞬だけ考えて、こう返した。




「日本は義務教育でみんな中卒だけど

 逆に小卒になれる方法があったら教えてほしい」




 兄は黙った。


 あのときの顔は、今でも忘れない。


 私は、にやりと笑った。


 私は時々、口で勝つ。


 それだけで十分だ。


 兄を黙らせることが、私にとって、いちばん手軽なストレス発散なのだから。




 そして、もう一つ


 数年前、夜の繁華街の中にある一つのホテルに入っていく兄の姿を見知らぬ女性と入っていく姿を見たことがある。


 私は、ひとりで歩いていた。


 距離にして、およそ120メートル位だろうか?


 それでも十分すぎるほど、鮮明だった。

 思わず携帯でカシャリと写真を撮った。

 まるで探偵になった気分である。


 あまりにも無防備な、ムテキング兄貴の背中だった。


 あの夜のことは、心の中にそっとしまっている。


 そして、もし反撃されたときには、これが、私の最後のカードだ。


 トランプで例えるなら、ジョーカーを一枚まだ、手元に残している。


 わたしは、時には無敵な探偵にもなれる。

 ムテキング壱果なのであった。

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