第22話 エピローグ
神器府事務室。
千代姫、小梅、小糸、お絹が団子を食べている。
小梅が言う。
「姫様、蔵五君といね子ちゃんの結納準備は進んでいますか」
「重蔵様が張り切っていますよ。おふたりには身寄りがなので、私と綱良様が親代わりになります。そして、縁ある方々をお呼びしてとびきりにぎやかにするそうです。そうそう、あもう様も来たがっているそうな」
「うげ。現人神とか言われてる方ですよね…」
「ふふふ。取って食われたりはしませんよ」
そこに本日の業務を終えた蔵五がやってくる。
「皆さんお疲れ様です。小梅様、こちらが報告書となります」
「お疲れ様でした。お団子食べる?」
「いえ、実は今から用事があって」
「そうか、いね子ちゃんと新居を探すんだっけ」
「はい。ではこれにて」
そそくさと出ていく蔵五を見送り、4人はため息を付く。
「結婚、ねぇ…」
「うらやましい…」
「まずは相手を探さないと…」
「なんか焦ってきました…」
改易大名屋敷にて。
ずっ友女子グループがダラダラとだべっている。
ペンドラゴン、シャーロット、槍花、本田八重、那智梓。
そして、最近グループに参加した処女ビッチの小梅。
シャーロットが槍花に言う。
「蔵五といね子の結納やけど、日取りは決まったんか?」
「まだだ」
「ふーん」
梓が槍花に言う。
「あの。わ、私は誘ってもらえるのかな。結納」
「いや、そこまで詳しくは知らないが」
「そ、そう?あ!今の私の発言は蔵五君といね子ちゃんには内緒ね。私なんかが結納に来たがってるって、迷惑だろうし。重いとか思われたくないし」
「…分かった。言うとおりにする」
シャーロットが言う。
「ところで、この中に男のおる奴はおるんかー?」
沈黙。
シャーロットが見回すと、日本語が分からないペンドラゴンを除く全員が、暗い顔でうつむいている。
シャーロットが言う。
「…な、なんか、ごめん。全滅やったんか」
しばらくして、八重が言う。
「紀州重蔵様に男を紹介してもらうとか、どうかな。男の面倒見てくれるらしいよ」
「おっ、前向きでええやんか」
「しかし、千代姫が景光殿とくっつけられそうになったとか聞いたのよねぇ」
「うわぁ、それはあかんで。あんなエロ人間とかありえへんやろ」
「まあ、景光殿には潮ちゃんとか言う子がいるらしいから、大丈夫みたいだけど…」
エロという単語に小梅が反応する。
「エロ人間…私はありかも」
全員が聞こえないふりをした。
シャーロットの耳元で、くノ一楓の声が聞こえる。
「ちなみに私も彼氏がいません」
「はいはい、そうでっか」
それを見て、八重が言う。
「シャーロット、あんた何ひとりでブツブツ言ってんのよ?」
「ええ?あたしは別に何も言ってへんでー」
「言ってましたー」
「八重の耳がおかしくなっとるんやろ」
「なっ!?」
梓が口を挟む。
「もしかして、シャーロットは、私の悪口を言ってたんですか?」
「⋯あんたはなんで、そんなに卑屈やねんな」
「いえ、何でもないです。気にしないでください。悪口には慣れてますから」
「もう、ほんまにあんたは困ったちゃんやな」
皆でわちゃわちゃしているのを、ペンドラゴンは楽しそうに眺めている。
女子会は続く。
紀州邸へ帰る巴姫。その横には護衛の真白。
町を歩くうち、知った顔に気付く。
「あそこに蔵五といね子がいますわね。新居を探すとか言ってましたが、その途中かしら。ふふふ。幸せそうに手を繋いで」
「…」
「ところで、真白には恋人はいるのかしら」
「…」
見ると、真白が暗い顔で下を向いている。
「ご、ごめんなさい。要らないことを聞いてしまいましたわね」
「…」
「わ、私も恋人はいないから。ほら、気にしないで」
「…」
「…あら、あれは?」
そこには幼女。頭巾をかぶった美しい女の子。手には瓢箪。
酒吞だった。
巴姫がつぶやく。
「お、恐ろしい」
巴姫の視線に気づいた酒吞はニヤリと笑う。
そして、悠々と立ち去った。
しばらく呆然としていた巴姫は我に返り、言う。
「真白、お父様に報告します。重大な怪異を発見。至急の対応が必要!急ぎますよ」
「…」
「お、お父様に真白に男を紹介してもらいますから。ほら、行きますよ」
「…!」
笑顔になった真白と共に、巴姫は足早に歩き出す。
日が暮れてきた。
うろこ雲が空が赤く染まる。
ふと、空を見上げていね子が言う。
「蔵五さん、あれ」
「あ、天子ちゃんだ」
空には天子がとんでいる。
天子の先には赤い夕陽。
「きれいな夕空ですね」
「そうだね。ふたりで見れて、うれしい」
「私もです」
ふたりは手をつなぎながら、ずっと夕陽を見つめていた。
完
拙作をお読み頂きありがとうございました。
幕末の村田蔵六についての小説を書きたいのですが、なかなか上手く書けず、練習の為にこのギャグ和風ファンタジーを書きました。とても楽しく書けました。
まだまだ書けそうにないので、長編洋風ファンタジーを書いています。
2026年6月6日17時からアップします。
無能のゾーゴと、仲間たち
無限のMPを持ちながら、魔法が一切使えない――
そんな致命的な欠陥を抱えた貴族の少年、ゾーゴ。
周囲からは無能と扱われ、
一番認めてほしい相手からも、ただの「子供」として扱われる日々。
強くなりたい。見返したい。
偶然ゾーゴが出会った、無能な魔法使いたち。
その寄せ集めの無能たちは、
やがて噛み合い、思いもよらぬ力を発揮していく。
それは、
誰かを利用することと、信じることの境界線を乗り越える行為でもあった。
これは、無能のゾーゴと呼ばれた少年が、
人々と繋がり成長していく物語。
よろしければ、是非お立ち寄りください。




