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お人好し令嬢の異世界婚活記1ー婚約するたびに人生が終わってしまうので神様に異世界修行に飛ばされました  作者: カンテラ澪


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27、覚悟

誤字脱字ご連絡ありがとうございます。

「何だと?」


エドワード王太子が執務机に拳を叩きつける。

彼の周りにうっすらと魔力が浮かび始めている。

魔力暴走しそうだ。


執務室には、ブーレ湖の窮状を知らせにきた大魔法師エルラール、側近達がいた。


「エドワード殿、落ち着いてくだされ」


「皆は、この話を聞いて落ち着いていられるのかっ!」


「皆、平気ではありません。あるはずがない。

しかし冷静に対策を練らねば」


「リルを守る、ただそれだけだっ」


「「「殿下っ!!!」」」


「わかって、いる。

この国を、いやこの世界を守ることが王太子の役目なのは、重々わかっている。

だからと言って、リルを人身御供にはできない」


「エドワード殿下、相手はいつもの魔物ではない。

いつもの討伐とは全く相手が違うのです」


「エルラール殿、あなたほどの魔力を持つ方でも、そう思われるのか」


「殿下、リルは両親の忘形見であり私の大切な妹です。

十五年前、ブーレ湖のロマイエ殲滅で私もリルも両親を失いました。

母はウィンザーの女神として国を守るために、その母の意思を貫くために父も命をかけました。

あの時でさえブーレ湖周辺の人ならざる悪を殲滅するためにあれだけの魔力が必要だった。

今回は明確な意図を持って地獄ゲートが開きかけています」


「ルシファーがリルを狙っているのは間違いないのだな」


「はい。リルの光の力は、天界から与えられた女神の光です。

それも亡き母ユーリアを凌ぎ、その力は闇のものほど手に入れたがる。

リルが地獄に引き込まれたら地獄のものはこの世へ入る自由を得ます。

悪逆非道三昧になりこの世は混沌の世界へと変わってしまいます。

だから何としてもリルが生きて力を発揮できるように守る覚悟です」


「エルラール殿と私の魔力を合わせて、いやこの国全ての魔力も含めてどのくらいの勝算があるのだ」


「五分五分かと。

神の定めにより、基本的に天界から明確な人間界への助力は禁止されていますが、地獄から悪魔が這い出してきたら話は別です。

本来、地獄界の悪鬼醜悪なものは人間界へ出てはならず、

出てきたものは天使軍に即刻殲滅されます。

すでに天界の軍も動き出していますが、今回はリルを取り込むために地獄側も多くの犠牲を払って突っ込んで来るでしょう。

様々な場所にゲートを作り多くのアンデッドが這い出してくる、つまり悪魔の数が多く発生場所が広範囲になると天の軍は手間取るでしょう。

天界の軍の力は強固だからこそ、アンデッドだけには効果的ですが、

人間がいる場所まで侵攻されると人間を巻き込んでしまいます。

天軍は人間を傷つけないよう攻撃力を緩めざるをえず、

その隙にまたアンデッドが増えてしまうという悪循環になります」


「つまり、天界の力に頼ると、人間界が消滅する可能性がある。

人間の世界では人間の魔力の範囲内で戦えということですか。

この世界をそのままに保とうとするならば、天界の力に全てを委ねられないと?」


「ホワイティエ公爵のおっしゃる通りです。

だから十五年前、父と母は命をかけたのです。

あの時、天界の力だけ借りていたら、ウィンザー世界は消滅したはずです」


「エルラール殿、、、私の魔力ではなく、命では足りないだろうか。私はこの国を守る義務がある」


「、、、殿下のお力だけでは足りません。

あなたとリルは一対の魔法を持つ運命です」


「リルを死なせたくない。

たとえ私がいなくなっても、幸せに生きてほしいのだ」


この国を動かしているトップの会議だ。しかし突破案がなく、全員が押し黙った。


※ ※ ※


会議室にノックの音が響く。


「失礼いたします。リリエル・ブラックウェルが参りました。

私も会議に参加させてくださいませ」


全員が息をのんだ。


「当事者抜きで会議をなさるとは。

まだ王太子妃ではなく、婚約者の立場でございますので出しゃばるべきではないと自覚しておりますが、聖女としての立場がございます。

ここの皆様は、私が一聖女ではなく《女神》であることをご存知のはず。

この国を守るために存在する私を爪弾きになさらないでください」


「リリエル、そなた、あまりにも危険だ」


「殿下、私はあなたの婚約者である前に聖女です。

この国を守る役割があります。

百歩譲って王太子妃見習いとしても、この国の民を守る義務があります。

私は守られる立場ではなく守る側であることをご理解いただきたいのです」


「会議の場でいうことではないのはわかっているが、別室にいく時間がもったない。

皆も事情はわかっているゆえ、正直に言う。

リリエル、私はそなたを失いたくない」


「、、、、王太子殿下、私もあなたを失いたくありません。

あなたの婚約者になった時、この命を未来のウィンザー王へ託しました。

後悔はございません。

公爵家で育って参りましたので王族の一員としての気概は持っているつもりです。

それは聖女という肩書きであっても同じです。

戦わねばウィンザー世界は消滅します。

どうか共に戦わせてください」


「リリエル、、、承知した、共に戦おう」


「ありがとう存じます。エドワード王太子殿下」


「では、戦略会議を始めましょう」


読んでいただきありがとうございます。明日21時ごろに投稿予定です。

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