森の怖さ(マリア視点)
(ああ、レン様の背中に!レン様の背中に!駄目、駄目よマリア!レン様のお優しさと与えられた罰、それを喜んでどうするのですか!)
マリアは必死に自分と戦っていた
「はぁはぁ、はぁはぁ」
『やっぱりマリア、疲れてたんだね!気付けなくてごめんよ』
「ち、違います、マリアは全然大丈夫ですよ、レン様」
『いいっていいって、後集落まで少しなんだからマリアも少しは休まないとね』
(ああ何てこと!マリアはレン様にお気を使わせただけでは無く、マリアのよこしまな気持ちをご勘違いまでさせてしまうなんて)
「レン様、マリアは本当に大丈夫ですので、どうか下ろして頂ければ」
『駄目だよ!それじゃあ罰にはならないしね』
「レン様……」
(大好きですレン様!何でそんなにお優しいのでしょうか!ああ、レン様の事を考えるとまた身体が疼いて、駄目よマリア!これ以上は迷惑を掛けては)
マリアの悪戦苦闘が更に続く
『いやー、さっきの〈ムカルデ〉だっけ?あれを見た後だと他の昆虫が大したこと無く見えるよ』
「さ、流石です、レン様!もう克服されるなんて」
『これもマリアのおかげだよ!ありがとう』
「!!!」
(そんな!今ここでお礼を言われてしまってはマリアはもう持ちません)
「ぁ、ぁぁ」
マリアは声に出ない悲鳴をあげるが、俺は気づかなかった
『この森もマリアが居なかったら絶対一人じゃ進めなかったし、本当に助かったよ』
「だめ……で…す……レ……さま」
マリアの声は最早おぶってる俺にも気づかないほど小さくなっていた
(駄目ですレン様!駄目ですレン様!これ以上はもう、先ほども来てしまったばかりなのに、また……また来てしまいます)
『だからまぁ少しの間だけども休んでよ!マリアに倒れられちゃうと困るのもあるけど、マリアが倒れたら悲しいしね』
(レン様、レン様、レン様!
そんなお優しい言葉は駄目ですー!!きちゃいます、きちゃいます、きちゃいます!)
『まぁそんな訳だから集落まではゆっくり休んでね』
(あぁぁあぁぁん!レン様ーー!!!)
ビクン、ビクン
俺の背中でマリアは大きく痙攣する
その瞬間俺の腰辺りは濡れていった
だが歩く事に夢中な俺は気づかない
「はぁはぁ、はぁ、レン様、それ以上は……」
『やっぱりマリア凄く苦しそうだ、もう少しの辛抱だからマリア、頑張って』
(そんな、マリアにまたそんな労いの言葉を言われたら、マリアまた……また……)
・・・・・・
そしてしばらく経ち、俺たちは森を抜けた
(ああ、どうすれば!あれから五回も来てしまい、レン様のお召し物が大変な事に!!)
その時の俺の背中はマリアの至る所から出た体液によってぐっしょりと濡れていた
『ふぅー、やっと抜けた!あれが集落か!』
「はぁはぁ、その様ですね!レ、レン様!ありがとうございます!マリアはもう大丈夫ですので」
(何て言えば、眷属であるマリアがレン様のお召し物を……しかも汚したのがマリアの体液だなんて、こんな事を知られてはレン様に嫌われてしまう)
『わかった、じゃあ下ろすね!けど道中苦しそうだったけど大丈夫?』
「は、はい!全然大丈夫ですのでご安心下さい!」
(けどレン様がこんなに心配されてるのに、そこに隠し事なんて……)
『ならいいんだけど』
「あと、レン様!実は……その」
(レン様に言わなければ、例え嫌われてしまっても)
ドキドキ
マリアは覚悟を決めた、そして心音が大きくなる
『ん?どうしたの』
「申し訳御座いません!レン様の大事なお召し物を汚してしまいました」
『ああ、大丈夫大丈夫!気にしないで』
(嫌われてない?)
「あ、えっと、その、本当に申し訳ありません」
『気にしないで、それより早く集落に行って今日は休もう!』
(なんて、なんてお心の広いご主人様なんでしょうか、マリアは、マリアはレン様にどんな所でも一生ついていきます)
「はい、レン様」
この時、俺の鈍感さによってマリアの忠誠心は更に高くなっていったのであった…………
いやぁー、こんな女の子をおぶれるなら怖い森でも何処でも行きたいものですねぇ(。-_-。)
次回からは本編に戻ります^o^




