森の怖さ②
現在のマリアの外見は人間の姿そのものだった
その事から今まで以上にマリアの事を俺は意識してしまう
(やっぱりマリアはすっごく美人で可愛いよなぁ)
「レン様?どうかされましたか?」
どうやら俺はマリアの横顔を見つめていたらしい
『あっ、えっと、そう言えばこの森ってモンスター少ないよね、出てきたのってゴブリンが数回程だし』
俺は慌てて話を振る
「そうですね!どうやら余り強い敵はいない様です。ですがまだ森の中なので注意下さい、何があるかわかりませんので」
『わかった、気をつけ……』
ガサガサ
またも茂みが揺れ動く
(もうビビらないぞ!何度もビビらせやがって)
ガサガサ
ガサー
出てきたのは最初に見たうさぎの様な小動物だった
俺は一瞬身構えたものの、今回はマリアの腕には抱きついていなかった
『ふぅー、流石にそう何度も同じ手には』
「ご立派です、レン様」
俺を褒めるマリアは少し残念そうな顔だった
だが
バザー
茂みの中からまたしても何かが出現した
その姿を見た俺は足がすくみ、膝を地面に着けながらマリアの腰の辺りを両腕でがっしりと掴んでいた!
『な、なんなんだよ!こいつは』
俺が驚いているなか、マリアも別の意味で驚いていた
「あぁん!レン様!レン様の両腕がマリアの腰に!だ、駄目ですレン様ぁ……」
出現した生物は最早昆虫の域を超えていた
その姿は外見はムカデの姿をしていたが、顎は俺の胴体を一瞬で切り裂く様な強靭な顎をしており、全長約5メートルはありそうな大きさだった
『マママ、マリア、あ、あれも昆虫なの!?』
俺は必死にマリアに問う
だが
「だ、駄目ですレン様!そんなに抱きつかれたら、マリアはもう、もう……」
マリアは俺の話を聞いてはいなかった
そんな中ムカデの怪物は標的を見つけたかの様にこちらに迫ってくる
『マリア、やばいって!本当にやばいから!!』
「あぁ!レン様激しいです!きちゃいます!きちゃいますよレン様、駄目ですー!!」
マリアは今まで俺が抱きつく度にマリアの中に溜まっていったものが今にも弾けそうになる
『マリア!もうそこまで!!』
ムカデの強靭な顎が俺とマリアを二人同時に噛みつこうとする
『もう駄目だ!ああーー!!』
「あぁぁあぁん!レン様ーー!!」
俺は目をつぶり、もう駄目だと悟った
しかし
シュパー
次に目を開けた瞬間ムカデは縦に真っ二つとなって切れていた
『助かったのか?』
「ハァハァ、どんな状況でも、レ、レン様を傷つける者は、マリアが許しません」
マリアは頬を紅く染め、息がおぼつかない状態で言う
「レン様、お怪我はありませんか?」
マリアはトロンとした表情で腰に抱きついてる俺に言う
『だ、大丈夫!』
「それは良かったです、ですがマリアはもう……」
そう言うマリアはペタンと地べたに足を下ろす
『マリア!どうしたんだ!?』
「いえ、身体が少し熱くなりすぎてしまっただけですのでご心配なさらずに」
何度も抱きついた事でマリアの感情が高ぶり、今回の抱きつきでマリアの何かが弾けたようだ
だが俺はマリアが今まで沢山戦った事による疲労と勘違いする
『いや、マリアは今まで沢山敵と戦ってくれたんだ!偶には俺も役立たないと!』
そして俺は座っているマリアを背中におんぶしようとした
『はい、マリア!俺の背中に乗って!』
「レ、レン様!いけません、眷属であるマリアが主人であるレン様の背中に乗るなど、出来ません!!」
マリアはとても動揺していた
『いいからいいから!それに主人が部下の面倒を見るのは普通の事じゃないか』
「なりません!そんな畏れ多い事は!!」
(うーん!ここまで拒否されるとは、けどマリアも凄く疲れてそうだし……あっ!)
ある事を思い出す
『そう言えば俺がゴブリンから攻撃された時、マリアはその事で罰を与えて欲しいって言ったよね』
「はい!マリアはどの様な罰でも!」
『今回のおんぶされるのが罰って事でどうかな?』
「そんな!それではマリアの罰にはなりません」
『そんな事は無いよ!マリアは俺におんぶされる事で羞恥心が芽生えると思うからそれが罰って事で』
「レン様!」
マリアは今にも泣きそうな顔でこちらを見た
俺におんぶされる事で眷属としてのプライドや羞恥心、罪悪感などがマリアには芽生えてた
『じゃあはい!乗って』
「わ、分かりましたレン様、畏れ多いですが……失礼します」
マリアの細くて綺麗な手が俺の肩に掛かる
『よいしょっと!』
持ち上げた瞬間マリアの大きな胸の感触が俺の背中に伝わった
(いかん!いかんぞ山田レン!これはあくまでもマリアを介抱する為だ!)
俺はよこしまな気持ちを抑えてマリアをおんぶする
だがこの時俺よりもよこしまな気持ちと悪戦苦闘する者がここにはいた
(ああ、先ほどよりレン様の温もりが!また、また感じてしまいます!駄目よマリア!これはレン様に与えられた罰!これに喜んでしまってはいけない!ああでも……!)
マリアは心の中で懸命に耐えていたのであった
マリアが耐えている中、俺は有るものに気づく
『さっきの敵はやっぱりモンスターだったのか!』
俺はさっきの巨大ムカデを倒した所に魔石が落ちているのに気づく
「そ、そうですね、先ほどの敵は〈ムカルデ〉というモンスターで御座います」
マリアは耐えながら俺の質問に応える
『ムカルデ!出来ればこの敵にはもう会いたく無いな』
俺は魔石を拾って歩き出す
・・・・・・
マリアをおぶって三十分程経過してようやく俺たちは森を抜け出した
この時はもう空は暗くなっていた
『ふぅー、やっと抜けた!あれが集落か!』
俺たちの目の前には大きい木の板の柵で囲まれた物が目に入る、そしてそこには入り口らしき物があった
「はぁはぁ、その様ですね!レ、レン様!ありがとうございます!マリアはもう大丈夫ですので」
『わかった、じゃあ下ろすね!けど道中苦しそうだったけど大丈夫?』
「は、はい!全然大丈夫ですのでご安心下さい!」
『ならいいんだけど』
「あと、レン様!実は……その」
マリアは言いにくいそうに顔を伏せて話してきた
『ん?どうしたの』
「申し訳御座いません!レン様の大事なお召し物を汚してしまいました」
(汚す?何の事だ?)
俺は不意に手を背中に回した
すると背中はびっくりするぐらいぐっしょり濡れていた
『ああ、大丈夫大丈夫!気にしないで』
(こんなに汗を掻くなんて、やっぱり具合が悪かったんだな)
「あ、えっと、その、本当に申し訳ありません」
『気にしないで、それより早く集落に行って今日は休もう!』
「はい、レン様」
俺たちは集落の入り口のドアまで向った……
次の話はマリアがおんぶされていた時からの別視点でのお話になります♪
レン君の背中の理由が明らかにヽ(´o`




