01
見切り発車で後先考えずの連載です。
グダグダですがよろしくお願いいたします。
私には、生まれた時からこの世界とは違う記憶を持っている。
そこはこの世界とは違い、科学が発展した世界で、私は日本という国のある病院で過ごしていた。生まれた時から病弱で友達もほとんどいなく、小説や漫画、乙女ゲーなどをして過ごし10代後半になる前に亡くなった。
そんな前世の記憶を持つ今の私の世界は、科学の代わりに魔術が発達し魔物が存在し…前世の私がやっていた乙女ゲーの世界と酷似している世界…はい、今流行りの乙女ゲー転生ものです。取り敢えず、私のこの世界での立ち位置は今の所「家族に疎まれる子供」です。
長々と語ってしまいましたね。
私の名前はレイティア、現在6歳です。ケイシー伯爵家の末の令嬢とした生まれましたが、茶髪の家系のはずなのに、何故かこの大陸で存在しないとされる銀髪に生まれてしまったためか家族に疎まれ、茶髪のカツラを着け隠されながら育てられてます。
私は決められた屋敷の範囲で日々を淡々と過ごしています。
「今日は、お客様がくるから絶対部屋から出るなと言われているしどう過ごそうからしら…ふふっ…」
良かった…お客様がくるおかげでいつもと違う日常だ…思わず笑みがこぼれる。
いつもと違って早くから水掃除も洗濯もしなくてもいい…外にでないからカツラも被らなくてもいいし、屋敷の者の陰口を聞かずにすむ…お父様に殴られることもない…なんて幸せな日だろう…
これが、今の私の小さな世界…小さな幸せ…他人がみたらきっと哀れむかもしれないが、
それでも前世のように毎日薬を投与される日々に比べれば、健康な身体を持つ今は幸せなのだと思える。
そんなことを考えていた数刻後…私の小さな世界は、ある一人の令嬢との出会いで、簡単に壊れることとなる。
「あなちゃ気に入ったわ!私のものになりなちゃい!!」
開口一番に言われたその言葉に私は固まった。
どうして自分の部屋に知らない女の子が現れたのも分からなければ、自分の髪を見られたこと、そして女の子の発言に私はパニックに陥っていた。
(何故??何故こんな所に!?鍵はかけてあったはずなのに!?というか、か、か、髪みられ…!?………あら??この子……何処かでみたことあるような…いえ、私は屋敷の者以外会ったことないはず……ということは……)
「ちょっと!私のはにゃしきこえないにょ!?何かたまってるのよ!!!失礼なかちゃね!!!」
まだ舌足らずながらもものすごい勢いで喋ってくる金髪につり目で赤い瞳の女の子…金髪…赤い瞳…!?
自分の記憶の中の少女と彼女が重なり、私は固まる。
(…こ、この子…あの人だ…)
ーー乙女ゲーで悪役令嬢の立ち位置であったアディンゼル公爵家のご令嬢…アリアーヌ・アディンゼルーー
(…って!今はそんなことより、髪…みられ…どうしよう…こんな…変な髪色…気味が悪い……)
「あ、あの…ごめんなさい…ごめんなさい…固まってしまって…それに、こんな気味悪い髪みせてしまって…」
私があわあわしつつ謝ると、彼女は両腕を腰に当て怒った顔をする。
「まっちゃく!なってないわね!ちゃんとしにゃさいよ!もう!!」
「本当にごめなさ「それに!あにゃたの髪は綺麗よ!変じゃないわ!まっちゃく!今からあにゃたは私のにゃんだからそんなこと言わないで!いいわね!?」
「へっ……?」
(私の髪が綺麗…?そんなはず…それに…)
「私が貴方のものって…?どういうことですか?」
「最初に言ったでしょもう!!きいてなさいよ!!もう決めちゃからね!いい!?おとうしゃまに言って私のものにしてもりゃうんだからね!」
そう言って部屋からでて行った彼女を呆然とみつつ、私はさっきの出来事を思い出していた。
「本当に…今日はいつもと違う日ね……」
その後、宣言通り彼女…アリアーヌ様は父にお願いし、私はアディンゼル公爵家の養子になり、アリアーヌ様の姉兼お世話係となった。
「……いえいえいえ…!おかしいわ…どうしてこうなったのかしら…」
「つべこべいわにゃいの!わたしに叶えられにぁいものにゃんてないんだから!」
アリアーヌ様自信まんまんだ。
私は現在アリアーヌ様とアディンゼル公爵家の庭でお茶をしている。ちなみに、目立つのでカツラは被っている。アリアーヌ様は不満そうだったが、こればかりは譲れない。
「でも、いくらアリアーヌ様だからといって…」
「いいの!それかりゃ、わたしのことはアリィとよぶこちょ!いいわね!わたしもあなちゃのことティアってよぶから!」
「え!?…はい、わかりました。ア、アリィ…様…」
「様はいらにゃいわよ!まあ、しかたにゃいわね。それでいいわ!」
彼女は嬉しそうにに笑った。私はというと、今まで前世含め、誰かを愛称で呼んだことなどなく、恥ずかしくて赤面してしまった。
「あの、どうして私を気に入って下さったのかお聞きしてもよろしいですか?」
顔が赤くなっていてもこれだけは聞いておかなくては…
アリィ様は一瞬キョトンとした顔をしたらすぐにあの初めてあった時のように自信まんまんのドヤ顔で、
「あなちゃの髪がとても綺麗だったからよ!」
そういった。
「わ、私の髪が綺麗…だから?銀髪なんて、変できみ悪い色なのにですか?」
私はアリィの言葉が信じられず、つい聞き返してしまった。「綺麗」初めて会ったときもそう言われたが、あの時は気が動転していて聞き間違えたのだと思っていた。だって、この髪のせいで疎まれ暴力を振るわれて来たのだ…気味悪いと何度も言われた…そんな髪を褒める人なんてあらわれるはずないと思っていた。なのに…
「もう!またそういうこという!!あなちゃの髪はきれいなにょ!私がそう思ったんだから!そうなの!いい!?今度そんなこと言ったら本気でおこりゅからね!…他のちとにも変なこと言わせないんだからね…!あにゃたの髪はとっても!とっても綺麗で!私大好きよ!」
そう言ってまた笑ったアリィ様に、私は見惚れてしまった。そして、次の瞬間目頭があつくなり耐えきれず声にだして泣いてしまった。ずっと、泣けなかった。当たり前だと思うことで守ってきた小さな世界は、アリィ様に簡単に壊れて、外の大きな世界へと手を引っ張りながら連れ出してくれた。この時から私にとってアリィ様は世界で一番大切な人へとなった。
ひとしきり泣いたあと、アリィ様と別れ、私は用意してもらった自分の部屋にいた。
(…アリィ様は乙女ゲーの世界では、ワガママで婚約者に執着していて、ヒロインを虐めたりしていた…そして、最後には色々な悪事がばれて死亡エンド…または死ぬより辛い目にあったりしていたはず……そんなこと、絶対にさせないわ!!)
「アリィ様は私のこと救ってくれた…今度は私がアリィ様を救うのよ!…必ずアリィ様を幸せにしてみせる!」