作られた夜空、一点の月
初投稿です。
ある程度構想は出来ているのでもし、続きを書く機会があれば是非そちらも読んでいただけると嬉しいです!
夜が好きだ。
昼間は行く先々の人が笑顔で、すれ違うだけで挨拶をしてくる。非社交的な僕には居場所なんてない。
太陽は当然、眩し過ぎて見ることも出来ない。
それに、肌を刃物で刺しているかのようなチクチクとした感覚が苦手だ。
だから夜の方が好きだ。
月は目に入れても痛みを感じないし、冬は特に凍えるほどの肌寒さが心地よくすら感じれる。
それにこの街は0時になると、死んでいるかのように皆が感情を消す。笑う人もいないし、泣く人もいない。そして不思議とどこかに集まって行くらしい。
当然、夜に出歩いて怒る人なんていない。
他所から来たからなのか分からないが、僕には影響はない。
理由は分からない。
そんな街に僕は惹かれた。
それに
「....綺麗」
今日、僕は初めて月を見たから。
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十二月三十一日 19時、僕は初日の出を見に神社まで来ていた。
両親の都合で日本海側から、関東の小さな街に引っ越してきて二回目の初日の出だ。
「寒い。」
吐く息はとても白く、十二月の寒空へ雲のように広がっていく。
0時まではかなり早いが、混み始めて長蛇の列に並ぶのはゴメンだ。
家に籠っていればいいが、この街の屋台にしか出ていないバナナを3本使った特大チョコバナナを買う為に無理して外出している。
「この特大チョコバナナ1つ。」
「へいよ!ありがとね!」
目的の物が買えたため、少し安堵している。
ここのチョコバナナは一度、地方のテレビで紹介もされていたことがある。
「おいしい。」
ほどよく甘いチョコレートでコーティングされたチョコバナナは、口元にチョコが付いてしまっても気にならない程美味しく、あっという間に食べ終えてしまった。
「たこ焼き美味しいよー!」
「出来たての焼きそばいかがですかー。」
「そこの綺麗な髪色のお嬢ちゃん!買ってかない?」
「花火だって!早く上行こうよー。」
「ママー!あれたべたい!」
「ちょっと、あまり離れちゃダメよ?」
騒々しい。人が多いところに自分から来ておいてなんだが、やはり人混みは苦手だと再認識させられる。
ほんの少し時間が早いとはいえ、年に一回となればやはり色んな人が集まってくる。
家族連れやカップル、妙なおじさん。幼い頃の出来事がきっかけで基本夜にしか活動しない僕には縁のないものだ。
社殿の横を曲がって赤い鳥居をくぐり、長い石段を登る。
この街の花火は、街の外れに位置する大きな日本屋敷から上がる。職人さんの屋敷なのかもしれない。
長い階段を登った先には、日の出がよく見えるホテルのバルコニーのような良いスポットがある。
既に場所取りをしている人が数多くいる。
なら僕が行くのはその反対側だ。
一人でいるからこそ発見できる隠れスポットもある。
人混みから少し離れた所に、短い階段を見つけた。
登ると、人6人分ほどの小さなベランダのような場所に出た。
元からお嬢様が使っているような上品な椅子とテーブルが一脚ずつあること以外は、普通の場所だ。
お世辞にも景色がいいとは言えないけれど、一人で見たい僕にとっては絶好の隠れスポットだ。
ここを使ってる人には悪いけど。
久しぶりに人混みを歩いたからか少し疲れてしまった。
「眠い。」
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「「5」」
銃声のような大きな声で目が覚める。
少しだけ眠ってしまったようだ。
いつの間にかカウントダウンが始まっている。
そんなに長く眠ってしまったのだろうか。
「「 4 」」
「「 3 」」
「「 2 」」
緊張からなのか、1までの間が長く感じてしまう。
「「 1 」」
「「 0 」」
特大の花火が何発も大きな音を立て、枯れ落ちる花のように消えていく。
花火が作り出す夜空はまるで自分だけのために作られているように感じる。
.....。
上を見上げている人は誰1人いない。皆魂が抜けているかのように正面を見つめ、機械のように階段を降り始めてしまう。
歓声や話し声も聴こえない、まるで自分だけ音のない世界にいるみたいだ。
見慣れた光景だ。
「帰ろ。」
気分が変わり、ふと後ろを振り返ってみる。
「.....綺麗」
目の前で声がする。
冬の冷たい風が頬を赤く染める。
地まで届きそうなほど長い髪が靡く。
僕の目に酷く焼き付いたのは花火でも夜空でもなく。
暗闇の中で宝石の様に輝く綺麗な月だった。
読んでくださりありがとうございます。
小説としては短く拙いものだとは思いますが、アドバイスや批評などは甘んじで受け入れる覚悟です。これからの改良の糧とさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。




