アメリカは人気者?それとも世界で最も多くの批判を浴びる国?
アメリカ合衆国。
日本にとって実質的に唯一の同盟国です。
私はアメリカが嫌いではありません。むしろ、好きか嫌いかを問われれば「好きだ」と答えるでしょう。
けれど世界に目を向けると、アメリカを良く思わない国は決して少なくありません。
アメリカは人気者でありながら、同時に「世界で一番批判を浴びる国」でもあるのです。
●批判の根源
その理由は、利己的すぎる振る舞いにあります。自由と民主主義という、誰もが否定しにくい価値観を盾にした他国への内政干渉や、経済的な利益のための軍事行動を厭わない姿勢が、多くの国から反発を買っているのです。
正確に言えば「アメリカという国そのもの」ではなく、「巨大資本や権力機構」の横暴さ、と言った方がよいでしょう。
●日本にとってのアメリカ
一方で、日本にとってアメリカは特別な存在でもあります。戦後、荒廃した日本を立ち上がらせるために差し伸べられた手。その支援がなければ、今の日本はなかったかもしれません。
だからこそ、日本は他国とは違う複雑な立場にあります。アメリカを完全に嫌いになることはできないのです。
●経済的依存の現実
しかし現実を直視すれば、日本は世界一の債権国でありながら、その資産を自由に活用できていません。なぜなら、基軸通貨ドルを支えるアメリカ国債を大量に保有しており、これを売却すれば世界経済が大混乱に陥り、巡り巡って日本自身も大打撃を受けてしまうからです。
もしドルの信用が崩れれば、日本が保有する膨大な資産は「紙くず同然になりかねない」。
●リーマンショック時の教訓
アメリカ発の金融危機だったリーマンショックの際、世界はその恐ろしさの一端を目の当たりにしました。
あの未曾有の危機において、日本は世界経済の崩壊を防ぐために決定的な役割を果たしました。各国の中央銀行が躊躇する中、日本銀行は世界に先駆けて大量のドル資金を市場に供給し、金融パニックを鎮めるための「最後の砦」となったのです。もしあの時、日本の迅速な行動がなければ、世界の金融システムは本当に崩壊していたかもしれません。
それは結果的に、ドルを基軸とする体制を、日本が身を挺して守り抜いたということでもありました。
●複雑な関係性
戦後はアメリカからの恩恵を受け、現在は経済的に依存し、そして時には日本がアメリカ(の経済体制)を救う貢献をする。そのすべてを同時に抱えるのが、日本にとってのアメリカです。運命共同体といえるかもしれません。だから私はアメリカを嫌ってはいません。
しかし、他の国々から見ればどうでしょう。経済的な利己性、主義や価値観の押し付け……それらを快く思わないのは当然のことではないでしょうか。
●問いかけ
果たして、日本の国民、そしてアメリカの国民自身は、この現実をどれほど自覚しているのでしょうか。
人気者でありながら、同時に嫌われ者でもある――そんな二面性をどう受け止めるのか。
その問いこそが、私たちが向き合うべきテーマなのかもしれません。
この文章では「アメリカ=好きか嫌いか」という単純な図式ではなく、恩恵と依存、そして利己性への批判という複雑な関係性を描きました。
日本は戦後の復興を支えてもらった恩義がありつつ、同時に経済面でアメリカに組み込まれ続けている――その現実は、他国には理解しづらい「特殊な立場」だと思います。
アメリカが人気者でありながら、最も批判を浴びる国でもある。
その二面性をどう捉えるかは、国際社会だけでなく、私たち自身の未来を考える上で避けて通れないテーマです。
この連載では、時に、こうした「国と国の関係」に潜む矛盾や現実も少しずつ掘り下げていきたいと思います。次回もお付き合いいただければ幸いです。
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よろしくお願いいたします。 m(_ _)m ペコリ




