異彩を放った演説――高市早苗氏が示した自民党再生の新たな選択肢
2025年9月。自民党は深刻な運営危機のさなか、未来を託すリーダーを選ぶ総裁選の所見発表演説会を迎えた。
物価高騰、実質賃金の停滞――国民が直面する苦しさを前に、候補者たちが経済政策を前面に押し出して論戦を繰り広げるのは、ある意味当然の流れだった。
茂木敏充氏は「3年で賃金1割増」という具体的な数値を掲げ、実行力を強調。
林芳正氏は「日本版ユニバーサルクレジット」構想を提案し、社会保障と経済安定を結びつける深さを示した。
小林鷹之氏は先端技術投資を旗印に、未来志向の成長戦略を訴え、
小泉進次郎氏は国民との対話を基盤に信頼回復を経済再生の土台に据えた。
いずれも「どうすれば国民の生活を豊かにできるか」という問いに正面から答えようとする責任政党らしい姿勢であり、理にかなったアプローチであった。
そんな中で異彩を放ったのが高市早苗氏だった。
彼女は経済に無関心なのではない。むしろ、これまで積極的に経済政策を発信してきた実績があり、深い知見を持つことは周知の事実だ。だからこそ今回、あえて詳細を語らず別のテーマに踏み込んだ選択は戦略的だった。
演説の冒頭、「奈良の女です」と切り出した高市氏は、日本の悠久の歴史や文化への敬意をにじませた。そして焦点を当てたのは、外国人との摩擦が生む社会の軋轢や、それに伴う国民の漠然とした不安といった“数字や予算だけでは語れない問題”だった。政治家が正面から触れにくい課題を、彼女はあえて中心に据えたのである。
この主題転換は演説に強烈なメッセージ性を与えた。
それは「自民党が直視すべき課題は経済だけではない」という問いかけだった。経済指標を上げるだけでは足りない。文化や伝統を守り、国家としての矜持を保ち、国民が安心して暮らせる秩序をどう築くのか――高市氏は、政治を“国家の魂の問題”に引き戻そうとした。
他の候補者が提示したのは「より良い経済運営」のビジョンだったのに対し、高市氏の演説は「これまでとは違う自民党」の姿を印象づけるものだった。これは単なる政策の差ではなく、政治の根本にある哲学の差を示すものだったと言える。
結論をまとめればこうだ。
経済政策に自信を持ちながらも、あえて語らず、政治家が口にしづらいテーマを正面から語った高市氏の演説は、他候補とは一線を画す“卓越した一手”であり、自民党再生の新しい選択肢を提示したものとして評価できる。
今回の総裁選を眺めてみると、各候補者にはそれぞれ光る部分があります。
小林鷹之氏は、セキュリティクリアランス制度の整備をまとめ上げた実績に象徴されるように、頭の回転と実行力は折り紙付き。「仕事を任せたらスピード感あるだろうな」と思わせる力があります。……ただ、その頭の良さが逆に庶民には“難解すぎる”とならないか、そこは突っ込みどころかもしれません。
林芳正氏は、そつのなさと安定感が際立ちます。協力を得やすい調整型の政治家で、中継ぎとしては適任にも思えます。……けれど「中継ぎ」って誉め言葉なのかどうか、ちょっと悩ましいですよね。長期政権を託すとなると「そつがなさすぎて印象に残らないのでは?」と突っ込みたくなる人もいるかもしれません。
そうした中で、高市早苗氏はやはり異彩を放っていました。経済の知見は十分にあるのに、あえてその詳細を語らず、国家の根幹を問うテーマに光を当てた。これは「経済政策だけじゃないぞ」と突っ込むどころか、むしろ「そこに気づくか」とうなずかされる場面でした。
結局のところ、自民党を「頼れる政党」に変えるためのイメージリーダーになれるのは誰か。私はやはり、高市氏がその最有力だと思います。もちろん、どの候補者にも突っ込みどころはあるのですが……むしろその人間味も含めて、彼らが切磋琢磨して日本を少しでも良い方向へ導いてくれることを願いたいものです。
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