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小さな力が集まったら  作者: ちゃい
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神官シュー

 街を見てまわり、本屋の前のベンチに戻るとベンチから竜巻が出ていた。

「うわあ、なんだこれは!」

 ベンチから立ち上がって、子供の神官が叫んでいる。

 さっき本屋に返した本を手に持って。


「もしかして、君も魔人になったの?」

 声をかけると、わたしが悪いかのようににらむ。

「あなたがこの本の持ち主なんですね、魔王なんですか?」

「いや違う、わたしも被害者だ」

 ごめんね、こっそりこの本を本屋に返したせいで、君までこんなことになって。

 買った神官に会うかもしれないから、と本屋の親父に無理やり持たされたそうだ。

 魔がつくものは嫌われているのかな。やっと売れたのに、本が戻ってきて驚いただろう。


 まだ信用してないみたいだけど、魔人になっちゃったから仲良くしよう、と声をかけた。

「そうですね、他の神官にばれないように協力しましょう」

 そう言うと、子供はシューと名のった、風の魔人になったらしい。

 憎しみをこめて本を返してくれた、いらないんだけど、被害者を増やさないためには持っているしかない。

 猫が嬉しそうに鳴いた。


 夕方、シューと一緒に宿屋に入り、案内された部屋で王について話をした。

「王は軍人の父親に、偉いぞ、とほめられたいために、勇者になったってことなの?」

「そうですよ、ずっとそう言ってたでしょう」

 シューにそう言われて、やっと王の演説の意味がわかった。

 父親と自分をほめたたえすぎていて、よくわからなかったな。

「その新しい宗教で、すべての民族を自分に従わせたいんですよ、ほめられたくて」

 なんだか残念な王だな、父親が基準なんだね。それでも死んだら神になって祀られることになっている。


 シューは特別に認められて神官になったのだろう、子供でも賢そうな顔をしている。

 遠い南の神殿から、隊商と一緒に砂漠を越えて来た、という。

 シューがいた女神様の神殿も神官が減っていて、王都の神殿へ行くことをすすめられたそうだ。

 隊商と一緒でも、砂漠ではなにがあるかわからない。

 王都に知り合いはいない、いくら賢くても、心細かっただろう。

 宿屋の食堂で夕食をおごってやると、喜んでいた。


 翌朝、シューと一緒に神殿に行くと、名札を持った神官たちが集まっていた。

 今日は北の神殿に行くらしい。北の海側には、大きな女神様の神殿がある。

「何をするんですかね」

 とシューが言う。

 嫌な予感がするのは同じみたい。

 


 

 

 

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