俺の結婚生活
藪の中っていう小説が好きです。
俺たちの新婚生活は、まだ始まったばかりだ。
俺の今の生活は、ほとんど旅が多い。
ニーナの食堂のために、米を調達することが最近の俺の楽しみだ。
ニーナは、すごい。
薬湯の材料である米を、なんと主食にした。
これぞ、薬屋の嫁のあるべき姿と思う。
まだ、きちんとした話し合いは出来ていないけれど、まだ俺たちの生活は始まったばかり。
ゆっくりと、2人の今後の幸せの形を決めて行きたいと思っている。
「ニーナ!米ともろみ醤油を仕入れて来たぞ」
ニーナに声をかけると、笑顔で駆け寄ってくる。
「ありがとう!ガイ、ご苦労さま。これだけあれば、1ヶ月はもつわね!助かるわ。これ、今回の分ね」
ニーナは、毎回しっかりと俺に代金を支払ってくれる。
ちゃんと往復の旅費も含めて。
親しき仲にも礼儀ありってやつだな。
「じゃあ、次回は1ヶ月後に間に合わせてくれる?」
「ああ、問題ない。俺は街で薬屋の仕事をしないといけないからな」
離れるのは寂しいが、ニーナも我慢してくれているから、俺は頑張れる。
俺が笑顔で手を振ると、ニーナも手を振って俺を見送ってくれる。
純粋なニーナと俺たちは、こうして、穏やかな新婚生活を過ごしている。
少し前に、王都の両親に手紙を送った。
結婚の報告をしたら、結婚証明書を送るように返事が来た。
この村では、結婚証明書なんて作れない。
村長の承認を得て、結婚の儀式をするくらいで。
街へ行けば教会で挙式をし、結婚証明書を作れるが、ニーナは街へ行こうとしない。
この前、街へ誘ったが食堂が忙しいから無理らしい。
村が好きだから、出たくないんだと。
だから、結婚証明書なんてものに俺はこだわらない。
両親へは、いずれ送るからと返事をしたが、その後は手紙は無い。
俺のことも理解してくれているし、身を固めたのだから、両親も安心してくれているだろう。
この景色にも、すっかり慣れたが、いつ見ても美しい。
街と村の往復は、俺にとって、幸せな道のり。
この海の波しぶきが、寄せては返しながら、俺の幸せを祝ってくれている。
真実って、人によって変わるものですよね。




