失敗からの巻き返し
油って、大切ですよね。
お好み焼きは、失敗だった。
深いナベ兼フライパンに、猪肉を焼いてから、適当に小麦粉と卵と水を混ぜた生地と、葉物野菜を軽く混ぜて、猪肉の上から流し込む。
ひっくり返しながら、じゅうじゅうと焼く。
なんか、微妙な匂い。
猪肉が、獣っぽいから。
うーん、と悩みながらも、とりあえず焼いた。
フライパンに、生地がくっついちゃって、ボロボロになったけど、なんとか火は通ったはず。
味付けは、例の塩。
パラパラと振りかけて、実食。
うーむ、、、これは、不味いの部類だわ。
獣臭い肉と、野菜の千切りが入った、ぐちゃぐちゃした炒め物。
残念過ぎる。
あんなに張り切って作ったのが、これ。
ソース!マヨネーズ!
かつお節ーーー!!!
あるはず無いものをねだっても仕方ない。
とりあえず、油だけでも手に入れたい。
行商人の商品に、確か、小さな樽に入った油があった。
あれは、とても高くて、パン1個で銅貨1枚のところ、小銀貨1枚って言ってた。
銅貨1枚が大体100円、小銀貨1枚で1000円、銀貨は1万円、金貨が10万円くらい。
だから、ほんとに小さい油1樽で、1000円。
自給自足が基本のこの村で、そんな贅沢する余裕なんてない。
山の神でも、無理。
油、手に入れられないかな。
その時、家にハルサがパンを届けに来てくれた。
「何してるだ?」
ハルサは、恰幅のいい、豪快なおばさんって感じ。
私の作った謎の炒め物を、パクッと食べた。
「、、、なんだこりゃ」
ですよねー。
「ちょっと、、、失敗しちゃって」
アハハ、と笑う。
「油があれば、もう少し上手く出来たかもしれないんですけど、、、どうしたら、いいですかねー」
油があっても、美味しくは出来てないだろうけどね。
「油ねぇ。猪の捨てるつもりの脂身が残ってるから、あげようか?火を通すと、脂が溶けるよ」
「ほんとう?ハルサ!もらいたいです!お願いします!」
ぴょこんと頭を下げる。
ハルサは、にこにこと、脂身を取りに家へ帰った。
ほんと、いい人ばっかりだな、ここ。
数分後、猪の脂身を持って現れたハルサは、なんだか強そうだ。
早速、脂身を火にかけて、脂を溶かす。
透明な脂分が出来る。
表面の不要物は、布で取り除く。
匂いもあるが、お好み焼きもどきよりは、ずっと気が楽だ。
そうして、ようやく、揚げ焼きが出来るくらいの脂がフライパンに、溜まった。
手に入れるのは、大変ですけど。




