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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第87話 新造艦

 国連本部の一室。

 そこでは国連軍の参謀役である軍事参謀委員会が開催されていた。


「先のハワイでの戦闘において、国連軍宇宙艦隊の旗艦エンタープライズを筆頭に、アメリカ、ロシア、中国の一部の艦艇を喪失した。他の艦艇はレッド・フリートの蒼の旗艦によって守られたそうだが、それでも戦力の大半を失ったのは大きい」

「この結果がもたらす問題は多くある。一番大きいのは、指揮系統の混乱にあるがな」

「それに関してはすぐに答えを出せるだろう。日本の巡航艦に任せるのが一番だ」

「本気で言っているのか?あの腰抜けの連中に任せるというのか」

「しかしそれが最善の策でもある。先にも、流浪の民の行動を抑制するシステムモジュールを装備させてもらったではないか。しかも日本政府の金でな」

「それによってもたらされた希望は様々な場所で影響を与えている。信用するなら一番だ」

「それに、この状況になっては、もはやどの艦が喪失するか分からない。旗艦の問題など、いまさら重要ではなかろう」

「だが戦力の欠如は問題だ」

「それもレッド・フリートの連中が何とかしてくれるだろう」

「我々に出番はなしか……」

「だが、いい情報もある。日本において巡航戦艦が就役するそうだ」

「それはいい情報だ」

「しかし、この場面で就役したところで、なんの役に立つというのだね?」

「象徴というものだろう。人間、偶像があればそれに信仰心を仰ぐというものだからな」


 そのころ日本では、ある艦が就役のために霞ヶ浦基地へと向かっていた。

 建造当時最新鋭の技術を盛り込んだ2隻の艦。

 それが巡航戦艦「鞍馬」と「筑波」である。

 巡航艦と異なるのは、まず第一に主砲の口径だろう。これまでの巡航艦の口径が20cm前後であったものが、30cm以上になっている。人類の使用している主砲はレールガンを使用しているため、口径は大きくなると使用する電力も大きくなる。今回、低出力でもこれまでと変わらない弾速を得られる技術を開発したことで、これに置き換えることができた。

 そして主砲の配置にも違いが出ている。これまで上面と側面に設置されていた主砲が、下面にも設置できるようになっている。これは主砲を船体に固定した上で砲塔旋回できるようになったことが第一の結果だろう。さらに船体の断面を六角形にしたことで、主砲の設置面を3から6にまで増やすことができたのだ。

 さらに機関の出力を上昇させることができたため、エネルギーを確保しやすくなり、主砲の投射量も増やすことができるようになった。

 これらに加えて艦の全長も500mを超えたことで、戦艦が戦艦たりえる要因となっているのだ。

 大気圏内での運用も見据えた艦でありながら大気圏外での戦闘を想定した、先進的な艦影をしている艦であることは言うまでもないだろう。

 そんな鞍馬と筑波は現在、全戦力を集めている霞ヶ浦基地に到着した。


「でっかいですねぇ……」

「最新鋭を詰め込んだ艦、それがこの鞍馬型巡航戦艦だよ」


 就役式の見学に呼ばれた黒島と後藤。

 その解説に八十野少将が解説してくれる。

 その後、八十野少将は式典に出席するために席を立つ。

 残った黒島たちはある人物と面談をする予定があるのだ。


「正直誰と面談してもガチガチに緊張しそう」

「私たち関係ないから大丈夫だよ」

「そうだな、今回関係あるのは俺だな」


 そんなことを黒島たちが言い合う。

 そして時間となった。

 ウェブ会議で、ある人物が画面に映る。


「初めまして、国防省宇宙軍総合局艦艇運用部の辻本です」

「レッド・フリートの雑用担当のトランス・ボーダーだ。自由に呼んでもらっていい」

「ではボーダーさん。今回の話なんですが、日本の新型巡航戦艦の建造に助力してもらうという話なんですが」

「え、そんな話してたんですか?」

「あぁ、ツイッチューブで相談も受けていた」

「マジっすか……」


 そんな黒島をよそに、トランスと辻本は話を続けて行く。


「今回はボーダーさんの持つ、艦艇を建造する装置を使わせてもらえるということなんですが」

「今回は1隻を完全に建造してもらって、それをコピーするというものだな」

「それで、今回はその使用許諾とその他諸々を精査するという話でよろしかったでしょうか」

「あぁ、そうだな」

「我々が、その複製装置とでも言うべきものを建造出来れば話が早いんですがねぇ」

「それはまだ無理だろう。我々の真理にたどり着いていないのだからな」


 そういって話はトントン拍子で進んでいく。

 最終的には、建造する新型巡航戦艦は一番艦を建造して、残りはコピーする形で建造するという。

 またこの建造方法を海外に展開して、今後の国連軍宇宙艦隊の再起につなげたい形だ。

 この考えはすぐさま各国国防省に通知され、さらに軍事参謀委員会の耳に入る。


「……このように、事実上日本が独占するレッド・フリートの技術力を各国に応用するという話が上がっています」

「国連軍が再起できるなら、それは願ったり叶ったりじゃないか」

「待て、これ自体が罠の可能性はないか?」

「日本が筆頭になって建造するんだ。人柱はそれで十分だろう」

「しかし、今後日本が勢力を拡大するということには少々納得がいってないが」

「何、弱腰政治を得意とする日本なら、こちらの言い分も理解してくれるだろう」


 そんなことをいいつつ、国連軍の復興案は進んでいく。

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