第64話 危機
レイズは、カシミール地方の制圧をしたあとの暇を見つけて、黒島に報告をしていた。
「そんなわけで、インド、中国、パキスタン国境における紛争は以上になります」
「あとは戦闘が中断するのを確認するだけですね」
そんなことを言いつつ、黒島は夕方のニュースを眺める。
すると、そこに速報として、テロップが表示される。
『カシミール地方の戦闘が停止』
直後、アナウンサーが映され、ニュースの続報を報じる。
『臨時ニュースです。カシミール地方における戦闘が停止されたと現地の報道機関が報じています。またこれに関連して、インド・パキスタンの国防省と中国国防部は連名で、カシミール地方における戦闘を即日停止することを発表しました。繰り返します……』
それを確認すると、黒島は一つ溜息をついた。
「なんとかなったってところですね」
「あのまま戦闘を続けていたら、それこそ死傷者が大勢出ますからね」
「とにかく、任せましたよ」
「もちろんです」
そういって、レイズは黒島のスマホから消える。
次の目的地に向かうからだ。
向かっている間に日付が変わり、1月12日となった。
深夜帯にもかかわらず、戦闘は続いている。そんな場所に向かうのだ。
この時、レイズはあることを考えていた。
「効率的に戦闘を中断させる方法はないものですかねぇ……」
「そんな方法があるなら、今頃地球の連中がやってるんじゃねぇか?」
「それもそうですけど……」
「とにかく、迂闊なことは考えるな、レイズ。今は指示に従うことを考えろ」
「えぇ、そのつもりです」
そういいつつも、考えることはやめないレイズであった。
そして目的地へと到着する。
今回の現場はコーカサス地方とクリミア半島だ。
国連軍宇宙艦隊はこれまで通り、ミサイルによる牽制を行うようで、ちょうどコーカサス地方とクリミア半島の中間地点である黒海上空に移動した。
ここなら、ミサイルの射程距離ギリギリであるため、ちょうど良い位置関係と言えるだろう。
早速国連軍宇宙艦隊はミサイルを発射した。そのまま自爆ポイントまで誘導する。
その時、問題が発生する。それは、中国籍の宇宙軍艦艇で発生した。
「なんだ?ミサイルの誘導が……」
「何か問題でも起きたか?」
「ミサイルの誘導が勝手に切り替わっていきます!」
「なんだと!?」
この問題は同様に他の国籍の艦艇でも発生していた。
この瞬間、レイズにある反応を拾う。
「この感じ……、白の艦艇!?」
レイズは思わず上を見る。そこには、白の艦艇群が群れをなしてミサイルに対して操作権を奪うために妨害電波を発していた。
レイズはそれに気が付くが、もう遅い。
ミサイルは白の艦艇に掌握され、誘導も効かない。もはや、この後の挙動がどうなるのかさえ、誰にも分からない状態だ。
国連軍宇宙艦隊の混乱は通信を通じて、すべてレイズの耳に入ってくる。
「レイズよ、この状況をどうする?」
「結構やべー状況じゃん」
「それはそうですけど、白の艦艇もだいぶ遠回りな方法を取るものですね……!」
レイズはとにかく考える。この状況をどのように解決するか。
今からミサイルを迎撃するためにミサイルを発射しても遅い。かといって、このまま見過ごしているとさらに戦場が混乱する恐れがある。
そんな時、レイズに一つの答えが導き出される。
「これしか方法はない!」
そういってあるものを起動する。
二重銃身回転式狙撃銃だ。
「レイズ、何をする気だ?」
トランスが聞くも、それを無視してレイズは作業を続ける。
そして、狙撃銃をミサイルが飛翔する方向に向けた。
「レイズちゃん、まさかここからあのミサイルを狙撃する気?」
「本気か?」
「本気じゃなかったらやってませんよ」
そういって、レイズはミサイルの進行方向の予測と狙撃銃の交点を導き出すようにメインコンピュータに指示を出す。
こうしてコンピュータがはじき出した答えの方向に狙撃銃が向けられる。
そして出力を絞った状態で発射された。
発射されたビームが直進し、ミサイルのことを追従する。
そのままミサイルにビームが着弾した。
その瞬間、ミサイルに搭載されていた火薬が爆発し、火の玉のようなものが複数個出来上がる。
その光景によるインパクトはすさまじいもので、戦場は一時的に停戦するまでになった。
「ふぅ。何とかなりましたね」
「しかし大勢の人間に今の光景を見られた可能性があるぞ」
「別にいいんじゃないですか?抑止力になればそれでOKでしょう」
「なんなんだか」
そのレイズの頭にある考えが思い浮かぶ。
「これ、もう一回やればいいのでは?」
「……何を言っているのだ?」
レイズは早速行動に移る。
クリミア半島に向けて、ミサイルを複数発発射した。
それがクリミア半島に到着するあたりで、レイズは再び狙撃銃によって狙撃を行う。
そうして、クリミア半島での戦闘も一時的に中断させるという快挙のようなものを得た。
「よし、これで問題ないでしょう」
「本当か?」
もちろん、この後国連軍宇宙艦隊のエンタープライズに怒られた。
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