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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第48話 翠の艦艇

 レイズが翠の艦艇と言った塊は、次第にこちらに近寄ってきた。

 レーダーに映ったIFFが「UNKNOWN」から「ENEMY」に切り替わる。

 それに合わせて、黒島はミサイル攻撃を行った。

 ミサイルは白の艦艇と翠の艦艇に向かって飛翔する。

 白の艦艇にはいくつか命中するものの、翠の艦艇には2発しか命中しなかった。

 それどころか、ミサイルを回避した上に、反撃までしてくる。


「バリア展開!」


 黒島の判断で、バリアが展開される。

 その直後、紅の旗艦にビームが複数本飛んできた。

 バリアのおかげでなんともないが、それでも翠の艦艇は脅威そのものである。


「あれをなんとかしないと!」

「その前に白の艦艇を攻撃しないと、また地上に影響が出ますよ!」

「くそっ」


 黒島はひとまず、白の艦艇群に向けて攻撃を再開した。

 白の艦艇群も残りわずか。主砲で周囲を薙ぎ払うようにして、白の艦艇を撃ち墜とす。

 最後の斉射とミサイル攻撃によって、白の艦艇群はすべて墜ちた。

 しかし次は翠の艦艇が残っている。

 黒島は翠の艦艇に向かって、主砲を斉射した。

 翠の艦艇の塊は、まるでムクドリのように有機的に動き回りながら回避していく。

 そしてそのまま紅の旗艦の方へと移動してくる。

 黒島は何度も何度も主砲を斉射するものの、翠の艦艇群はそれを幾度も回避していく。


「くそっ、ちょこまかと!」

「やはり紅の旗艦では翠の駆逐艦級を攻撃するには分が悪いですね……!」

「どうします?」

「今は攪乱させて攻撃をさせないようにしましょう」


 そういわれて、黒島はミサイルを発射する。

 紅の旗艦より、ミサイルの方が機動力が高い。その分、攪乱するにはもってこいだろう。

 ミサイルは常に動き続けている翠の艦艇群に向かって、飛翔を続ける。

 しかし、翠の艦艇群はそれを自身の持つ機動力だけで回避していく。


「なんちゅう機動力だ……!」

「やっぱり分が悪いですね。とにかく攪乱を続けて!」

「ミサイルの操作はこっちに任せて!」


 そういって、後藤はミサイルの操作権を持っていく。

 黒島は後藤にミサイルを任せて、自分は砲撃に集中する。

 翠の艦艇群の周りを囲うようにミサイルを誘導させ、砲撃によって集まった翠の艦艇群を攻撃する。

 この攻撃によって、ようやくの思いで、翠の艦艇が何隻か墜ちる。

 その瞬間、翠の艦艇群の動きに変化が見られた。

 突如として、翠に艦艇群が槍のようになって紅の旗艦に向けて突進を始める。

 黒島はこのチャンスを逃さずに、艦首砲によって攻撃を行う。

 それにより、翠の艦艇群の何隻かが爆発するものの、それでも翠の艦艇群の突進はとまらない。

 勢いが止まらずそのまま紅の旗艦とぶつかると思われた瞬間。

 翠の艦艇群は紅の旗艦の横を通過し、そのままワープしてどこかへ消えてしまった。

 それを見届けた黒島は、唖然としまままだった。


「……何だったんだ、今のは……?」

「さぁ?私も意図が汲めなかったです」

「とりあえず脅威は去ったってこと?」

「一応は。レーダーにも艦影は映ってないわけですし」

「終わったぁ……」


 黒島は一つ、大きな溜息をついた。

 その直後である。


『こちらエンタープライズ。状況を説明してくれ』


 そこには、複数の煙をあげながらラスベガスの上空を飛んでいるエンタープライズの姿があった。


「こちら紅の旗艦。エンタープライズ、そちらの状況は一体何か?」

『先ほどの翠色の艦艇の攻撃がニアミスした。航行に影響はない』

「了解した。現状を説明する。先ほど白の艦艇群がラスベガスに降下、地上に攻撃を開始した。これをアメリカ空軍が迎撃に向かうも壊滅、中距離弾道ミサイルによる攻撃も失敗に終わった。その後、白の艦艇群を本艦が迎撃中に、翠の艦艇群が介入、その後自らワープしてその場を去ったと見られる」

『状況について理解した。現在はこの惨状を収める必要がある』


 黒島は下方を見る。

 そこには、火の手が上がるラスベガスの街があった。


「けど、この艦に消火装備なんてないですよね?」

「そうなんですよねー。やれることと言ったら、他の地域からの応援を呼んでくるくらいですかねー」

「ここは素直に撤退したほうがいいんじゃないですか」

「でも、軍のルールの中に人命救助とかありますよね?」

「うぐっ……」


 そんなことを言っていると、そこにある艦がやってくる。


『こちら国連軍宇宙艦隊巡航艦瑞鶴である。これより、ラスベガスでの人命救助に入る』

「よかった。援軍が来ましたよ」

「そうですね」


 こうして、人命救助に数時間以上をかけた。

 夜が更け、朝日が昇るときまで現場に留まっていた。


「って、俺たち何もしてなくていいんですか?」

「向こうが問題ないって言ってるんですから、問題ないでしょう?それならそれに甘えてしましましょう」

「そんなもんですか」

「そんなもんです」


 その後、周辺地域から消防や警察、またアメリカ陸軍が集結し、宇宙艦隊の出る幕はなくなった。


「とりあえず、帰りましょうか」

「そうですね」


 紅の旗艦は一度、霞ヶ浦基地へと帰還する。


「お疲れ様、大変だったでしょ?」


 基地に帰還すると、八十野少将が待っていた。


「まぁ、それなりには大変でしたけど」

「とにかく、今後君たちが動きやすくなるように法整備をしていくつもりではあるから、そのあたりは任せてほしい」

(本当かなぁ?)


 黒島は疑心暗鬼でいた。


「とにかく今日はもう帰りなさい。時間も遅いし」


 時計を見れば、すでに時刻は22時を過ぎていた。


「そうします」

「はい、おやすみ」


 そういって、黒島たちは帰っていく。


「あ」

「どうしました、祐樹さん」

「午後の授業すっぽかした……」

「あー……」


 黒島は天を仰いだ。 

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