表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/140

第18話 モスクワ上空

 それから黒島たちは、夜な夜な通話をしては人類との邂逅について話し合っていた。


「人類にレッド・フリートの姿を見させるのなら、まずは新興国からやっていくのがいいんじゃないですか?」

「慣れさせるという観点では、その方法が最も有効だろう」

「しかし時間がかかるんじゃないですか?」

「確かに時間がかかるのは問題だな」

「時間をかけずに人類と邂逅させるとなると、少し手間がかかりますね」

「何か有効な手立てはないかな」


 全員がうなって考え込んでしまう。

 これといった打開策が考えつかないからだ。

 そのまま時間だけが無情に過ぎていく。

 その時、黒島のスマホがなる。

 何か通知が来たようだ。

 黒島はその内容を確認してみる。

 どうやらツイッチューブの通知のようだ。

 この時、黒島はあることを思いつく。


「ツイッチューブを使うのはどうですか?」

「これですか?」

「はい。SNSで情報発信するというやつですよ。レッド・フリートのアカウントを作って、それで広報をするのはどうでしょう」

「確かにいい考えかもしれないが、それでいいのか?」

「まぁ、何かあってもアカウント消せばいいだけの話ですし、問題はないでしょう」

「危ない思考ですね……」


 方向性は決まった。

 黒島は早速行動に移す。

 まずは、フリーのメールアドレスの取得から始まった。

 大手IT企業のアカウントがあれば、簡単にメールアドレスは取得できる。

 それを使って、黒島はツイッチューブのアカウントを作成した。

 名前はもちろん、レッド・フリートである。

 問題はその投稿内容だ。


「一体どんな内容で投稿すればいいんだか……」

「まずは挨拶をすればいいのではないか?」

「なら大将のレイズが代表して挨拶すればいいんじゃないか?」

「国際色豊かにするために、各国の言語も追加しておきましょう」

「話が飛躍してるんですけど!」


 結局、日本語で話して英語字幕をつけるということで落ち着いた。

 次は撮影である。


「じゃあアドリブでお願いします」

「そんな無茶なお願いあります!?」


 そんなことを言いつつも、レイズはスマホの機能を駆使して、撮影を行う。


 結果、できたものは次のようになる。


『皆さん、初めまして。私が世間を賑わせている謎の紅き艦こと、レイズ・ローフォンです。さて、私が人類の前に登場した理由ですが、私はあの知的生命体、通称流浪の民に対して反逆をしたというのが大きな理由です。今現在、反逆した理由を述べることはできませんが、私は流浪の民に攻撃されている人類を救うべく、ともに戦うことを宣言します。人類の皆さん、よろしくお願いします』


 これを見た黒島たち。

 出てきた感想は至極単純なものだった。


「ちょっと硬いですね」

「仕方ないじゃないですかぁ!こんなの初めてなんですし!」

「まぁ、最初にしては上出来だろう」

「早速これを投稿しよう」


 スマホを使って、少し編集作業をして、黒島はその動画をツイッチューブに投稿した。


「さーて、最初の反応はどうかな?」


 とは言っても、すぐに結果が出るわけではない。

 黒島は丸一日置いておくことにした。

 そして次の日の夜。

 投稿した動画のチェックをする。


「バズってたらありがたいんですけどねぇ」

「私がバズらないみたいな言い方しないでくださいよ」

「とにかく、見てみるほかないだろう」


 そういって、黒島は動画の再生数を確認する。

 動画の再生数は、56回であった。


「56回……」

「まぁ、無名のアカウントからしてみれば、だいぶいった方じゃないですか?」


 そういって、動画に寄せられたコメントを見てみる。


『うそくさ』

『炎上商法ですね分かります』

『かわいいな、APP90か?』

『都合が良すぎる』


 この言われようである。


「誰も信用してない……」

「まぁ、仕方ないことですよ。これから少しずつ信用を上げていけばいいんですから」


 そんなことを話している時だった。


「っ!白の艦艇に動きがありました!」

「今度はどこに?」

「今度はモスクワに質量爆弾を投下するようです」

「よし、行きますか」


 そういって、黒島と後藤は、例のごとく紅の旗艦にワープする。


「機関始動。空間転移準備」

「目標、モスクワ上空」

「周辺に異常なし。レーダーオールグリーン」

「空間転移回廊展開、準備よし」

「ワープ!」


 ワープした先には、巨大な白の艦艇が1隻いた。


「ヨーシャーク級地上制圧艦!まだ残っていたんですか!」

「とにかく、この艦を攻撃すればいいんですね?」

「はい」

「艦首主砲、一斉射!」


 艦首に装備されている主砲から、24本のビームが照射される。

 そのビームは、見事にヨーシャーク級を打ち抜く。

 そして大爆発を起こした。


「よし!撃沈!」

「まだです!」


 黒島は撃沈を確信したが、レイズはそれに反対するように叫ぶ。

 爆炎を上げる艦から、何か大きなものが地上に向けて飛んで行った。


「敵は質量爆弾を投下しました!あれをどうにかしないと、モスクワに被害が!」

「とにかく追いかけましょう!」


 そういって、黒島は艦を地上に向けて降下させる。

 質量爆弾は、その質量によって速度を上げ続けていた。

 その速度を超えるスピードで紅の旗艦は降下をする。

 そして紅の旗艦は、質量爆弾の真横につける。


「これからどうするんですか!?」

「これを主砲で爆発させます!」

「そしたら破片がモスクワ中に降り注ぐことになりますよ!」

「そしたらミサイルで破片を爆破させましょう!」

「その手がありましたね!」


 そういって紅の旗艦は、質量爆弾から距離を取り、主砲を向ける。

 そして質量爆弾に向けて発射した。

 主砲から発射されたビームは、質量爆弾の中心に見事命中し、大爆発を引き起こした。

 そして質量爆弾からは、大小様々な破片が飛び散る。


「ミサイル、全弾発射!」


 100を超えるミサイルが一斉に発射される。

 そしてそのミサイルは、レイズの手に誘導され、被害が出るであろう大き目の破片を狙いすましていく。

 そのままどんどん破片に命中させ、粉々にしていった。

 こうして、影響の出ないレベルにまで破壊していく。

 結果、質量爆弾は粉微塵となり、破片がバラバラと散っていった。


「これで任務は完了。さぁ、帰りましょうか」

「おっとその前に一つ言っておくことがある」


 どこからともなく、トランスが現れる。


「なんですかトランスさん。戦闘終了直後なのに」

「いや何、先ほどの戦闘の様子を撮影させてもらった。これをSNSに上げれば、信用する人間も増えるんじゃないか?」

「そんなことしてたんですか……」

「こういう戦闘時は暇なんでな」

「そうですか」


 そういって、黒島たちは家にワープする。

 黒島はトランスが撮ってきた映像を使って、戦闘の様子をツイッチューブにアップする。

 しかし、これが思わぬ反響を呼ぶことを、今は知らない。

本日も読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければ、下の評価ボタンを押していってください。また、感想も随時受け付けています。

次回もまた読んでいってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ