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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第17話 戦いの後

 黒島たちが日本に戻ってから数時間後。

 日本時間午前7時頃にやっているニュースでは、どの番組もパナマ市での戦闘の様子を伝えていた。


『……では現地から中継です。南原さん』

『はい。こちらパナマ市近郊からお伝えしています。現在、カメラはパナマ市中心部の方を向いています。御覧の通り、あちこちで火の手が上がり、戦闘のすさまじさを物語っています。現地時間午前8時頃に知的生命体と思われる艦艇がパナマ市上空に現れました。その後は市街地を破壊し回った様子が映像に残っています。市民の方にインタビューを行った所、全てを破壊しつくような業火のようだったと話しています』

『南原さん。その後は一体どのようになったのでしょうか?』

『はい。その後は第5次攻撃にも見られた謎の紅い艦が現れ、知的生命体と思われる艦艇を全て撃破していきました。現在、国連軍宇宙艦隊が行方を捜索するも、現在まで発見に至っていないということです』

『現在の町の様子はどうですか?』

『現在、町は封鎖状態にあります。というのも、今回知的生命体の攻撃を受けた初めての都市ということで、警察や軍関係者がもしものことを考えてとのことです。また、町には艦艇の残骸が多数散らばっており、封鎖するのもやむなしという声も出ています。一方、市民からは謎の紅い艦のことを許すわけにはいかないという声も出ています。戦闘によって結果として町が破壊されたという意見が多くあり、それによって難民が発生しているのもまた事実です』

『現地からのリポートでした。ここからはテレビジャパンの坂本デスクと進行していきます』

『よろしくお願いします』

『坂本さん。謎の紅い艦が登場してからというものの、知的生命体の攻撃が激しくなっている様子も伺えますが』

『おそらく、あの紅い艦が何かしらの鍵を握っていると考えてもいいでしょう。見たこともない艦影をしていることから、謎の紅い艦は知的生命体と何かしらの関係を持っているとしか思えません。それを前提とした上で、あの紅い艦は知的生命体と関係が変化したと見るのが自然でしょう』

『しかし、そうとも限らないのではないでしょうか?』

『確かにそうとも言えるでしょう。そう捉えると自然であるというだけで、実際そうであるとは限りませんからね』

『ですが、今後のパワーバランスというのにも変化が見られるのではじゃないでしょうか?』

『それはあると思いますよ。少なくとも知的生命体と紅い艦は見た目上対立しているわけですから、我々人類はそこに漬け込むのが一番だと考えます』

『坂本デスクでした』


 そして番組は別の特集へと移っていく。

 それを見た黒島は少し複雑な顔をしていた。


「どうしたんですか?祐樹さん。変な顔して」

「いえ。俺たちの戦闘で市民に犠牲が出たとか、難民が発生しているようで、なんというか心苦しいはずなんですけど、そう思わない自分がいて……」

「なるほど、現実との乖離を起こしているというわけですか」


 そう言って、レイズはうなずいた。


「でもその考えは悪くないですよ」

「どういうことですか?」

「現実との乖離、それは立派な心理的防衛本能です。祐樹さんは自身の行ったことに対する結果に関して、受け入れたくないという本能が働いているんです。そのため、現実と心理が乖離しているんです。あくまで私の考えですけど」

「そうですか……」

「まぁ、そこまで気負うことはないってことですよ」


 そのまま、黒島は学校へと向かった。

 学校では、紅の旗艦に関して話している生徒が多数いる。

 黒島の友人たちも、普段はしなさそうなニュースの話をしていた。


「あの謎の紅い艦、一体何者なんだろうな」

「そりゃ知的生命体のものに決まっているだろ」

「オカルト界隈もいろいろと盛り上がっているようだぞ」

「黒島はどう思う?」

「あ、あぁ、そうだな……」

「なんだ、今日調子悪いな」

「ちょっと、悪い夢を見てな……」

「夢なんて忘れるに限るぞ」


 そんな感じで、一日を過ごしていく。

 その日の放課後。

 黒島は後藤と待ち合わせをしていた。


「黒島君」

「おう、後藤」

「じゃ、帰ろっか」

「あぁ」


 そういって、二人はそろって帰っていく。


「昨日は大変だったね」

「後藤の方はなんともないのか?」

「うーん。なんともないわけじゃないけど、やっぱり心が痛いね」

「そうだよな」

「でもそれ以上に、なんだか充実感がいっぱいだよ」

「充実感?」

「うん。なんていえばいいか分からないけど、人類を守っている感じがすごくする」

「……そうか」

「うん?黒島君大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」


 黒島は後藤の言葉に、うなずいた。

 ここでクヨクヨしている場合ではないと、そう黒島は思った。

本日も読んでいただきありがとうございます。

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次回もまた読んでいってください。

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