第135話 決戦 その1
ワープアウトすると、そこには巨大な球体が浮かんでいた。
「こ、これが……」
「これこそ、すべての流浪の民の原点にして頂点に君臨する、総旗艦だ」
それは宇宙空間にぽつんと浮かんでいるような感じだった。
しかし、総旗艦の周りに存在する白の艦艇群を見れば分かるだろう。総旗艦の巨大さを。
総旗艦まで5万kmもないくらいではあるものの、それでも白の艦艇群はもはや点にしか見えない。
それほどまでに、総旗艦は巨大だった。
「総旗艦の大きさ……、地球とほぼ同じ……」
そう報告する後藤。そしてその報告を聞いて若干狼狽える黒島。
「地球とほぼ同じって……。そんなのどうやって戦うって言うんだよ……」
「狼狽えるな。すでに決着はついているようなものだ」
「どういうことです?」
「俺たちには秘策があるってことだよ」
そういってテリーは前を見る。
すると、レーダーには白の艦艇群を捉えているのか、流動的に動く影が見られる。
「白の艦艇群、まだ残っていたか」
「あの数やべーよ……。5億はいるんじゃねぇか?」
「どんな攻撃でも、守り切ってみせる」
そんなことを話していると、聞きなれた声が降ってくる。
「よくここまで来たな、レッド・フリートの諸君」
「フリット……!」
レイズが複雑そうな顔をして答える。
「いつかはバレると思っていたが、存外早かったな」
「親父、いつまでこんなことをしてるつもりだ?」
「テリー。お前にはいろいろと世話を焼いてやったつもりだったが、まだ世話をしないといけないのか?」
「親父こそ、いつまで子供じみたことをやっているつもりだ?いい加減気づけよ」
「俺はまだやれる。それを証明できるのが、この総旗艦なんだよ」
そういってフリットは、不気味な笑い声を出す。
「そうだ、まだ終わっちゃいない!俺の野望はまだ!潰えてないのだ!」
「フリットの野望?」
「親父は、流浪の民ができる前は研究者だった。その名残なのか、研究という名目で様々な虐殺や破壊を続けてきた。それは一種の呪いにも似ている」
「呪い……」
「俺は、その呪いを解いてやらないといけないと常々感じていた。今日がその時だ」
「それで、具体的にはどのようにしてアレを止めるんですか?」
「まずはアレに近づけ。そうしないと始まらない」
「しかし、あれだけの白の艦艇群に、総旗艦自体も何か装備している感じしてますけど……」
「構わん。押し通るだけだ」
「わー、無茶苦茶ー」
黒島は棒読みのように言う。
しかし、今はテリーの言う通りにするしかない。
黒島は覚悟した。
それに今の黒島にはレッド・フリートという味方がいる。
「ふぅー……。よし、行きます」
そういって黒島は紅の旗艦を前進させた。
後ろには黒の旗艦、翠の旗艦、蒼の旗艦、橙の旗艦、そしてそれらの艦艇群がいる。
彼らとともに、数億もの白の艦艇群を墜としてきた実績がある。
それは確実に、彼らの実力といっても過言ではない。
「紅の旗艦、全速前進!」
黒島はグリップを握る力を強める。
そして、艦隊の速度を上げる。
必然的に艦艇群ごとに速度差が生じるが、それで良い。
「オラオラァ!こっちだ白の艦艇群!」
まずは翠の艦艇群によって白の艦艇群を攪乱する。
攪乱した所で、翠の艦艇群が攻撃することで、白の艦艇群を効率的に墜としていくのだ。
一方、紅の艦艇群は遠距離からの砲撃で、白の艦艇群の動きを抑制していた。
「最高速度を維持するためには、やはり二重銃身回転式狙撃銃は使えないか……」
「仕方ないことだ。今は主砲とミサイルで我慢しろ」
「大丈夫ですよ祐樹さん。火器管制は私にお任せください」
「えぇ、お任せします」
そういって、黒島は操縦に集中する。
蒼の旗艦は紅の旗艦の前方に陣取って、白の艦艇群からの攻撃を一身に受け止めていた。
「ジーナ、大丈夫?」
「これくらい問題ない。レイズは余計な心配しなくていい」
ジーナはかなり平気そうである。
紅の旗艦のすぐ後ろを、橙の旗艦とその艦艇群が行く。
すでに自立航行が可能な状態であり、橙の旗艦を中心とした橙の艦艇群が陣形をとっている。その陣形は、白の艦艇群が攻撃してきても、簡単に修復可能な状態に保たれている。
「橙の旗艦、正常に作動中。問題はないな」
そうトランスがチェックを入れる。
そんなトランス率いる黒の艦艇群は、かなり後方を航行している。もとより後方支援を担当している黒の艦艇群は、速力にそこまでステータスを振っていない。
そのため、艦隊の中では一番遅いのだ。最も、攻撃手段がまともにない黒の艦艇群が前に出ても、恰好の獲物になるだけである。
「また橙の艦艇群が沈んだか。まぁいい。製造は間に合っている」
そういってトランスはレッド・フリート全体の様子を確認する。
こうして少しずつではあるが、レッド・フリートは総旗艦へと近づいていく。
「簡単に沈むわけがないんだ……。こちらにはまだ手段が残っている……」
総旗艦にいるフリットは、まるで何かに執着するようにあるボタンを押した。
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