表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/140

第118話 次の手

 その日は、どこのニュース番組も特番を放送していた。


『……国連軍はこの人類史史上、類を見ない大侵略に対して、「非常に脅威であり、今後も予断を許さない状況下にある」といったコメントを出しました。しかし、一部のメディアやSNSでは、防衛のほとんどを事実上の有志連合であるレッド・フリートに依存しているという問題の声を上げています。事実、最終的な地球防衛の任務を、レッド・フリートに所属している蒼の艦艇群と呼ばれる集団に行わせていたことが、関係者への取材で明らかになりました。地球側の対応は、流浪の民の動向を確認するための観測と、国連軍宇宙艦隊を大気圏外に派遣するに留めており、国連軍の動きに批判が集まっています。一方で、今回月面から襲来した流浪の民の艦艇数は公式発表で30万隻に上るとされており、この数字が事実だった場合、国連軍だけでは対処のしようがなかったという援護の声も上がっています。問題の起点はどこにあるのか。本来地球側がとるべき対処法はなんだったのか。本日は専門家のご意見を交えながらこの問題を扱っていこうと思います……』


 こういう番組が各局、そしてSNS上でも話題に取り上げられていた。


「なんというか、俺たち悪役にされている感満載ですね」

「こういう時は、論戦に交わらずに事が収まるまでROMってるのが一番ですよ」

「レイズさん、それ死語ですよ……」

「え、そうなんですか?」


 そんなことを話しているレッド・フリートの面々。


「しかし今後の対応をどうするかって話ですよ」

「その肝心のトランスさんがどっかいっちゃっててなんにも始まんないですけど」


 そんな苦言を黒島が呈すると、トランスが黒島のパソコンに出てきた。


「いやはや、こちらも大変なんだぞ」

「トランスさん。肝心の話ってなんですか?」

「あぁ。今後の地球の安全を左右する、大事な話だ」

「そんな壮大な話なんですか……?」

「そうだ」


 そういってトランスはパソコンにプレゼンテーションソフトウェアを立ち上げる。


「我々が目指すべき地球の姿!それはっ!惑星バリア構想だっ!」


 そういってイメージ図を示す。

 それは地球がバリアによって守られているポンチ絵である。


「何これ、ダイソンスフィア?」

「後藤マニアックな事知ってるな」


 緊張感のない黒島と後藤。

 それを注意するトランス。


「そこ、真面目に聞け。俺は極秘裏に国連総会へ、この惑星バリア構想を打ち出した」

「すいません。そもそも惑星バリア構想とは?」

「簡単に言えば、有事の際に惑星まるごとバリアで覆いつくしてしまう構想のことだ」

「単純明快でいいですね」

「さてこの構想、いくつかデメリットがあるものの、現状白の艦艇群から有効的に防衛できる最善の手でもある」


 そういってスライドをめくる。


「そこで、国連総会から世界各国に協力を得て、この惑星バリア構想を打ち出すことに至ったわけだ。惑星丸ごとバリアで覆うのはそんなに難しいことではない。世界各地、だいたい150箇所に設置すれば問題ないことが分かっている。これを国連総会の場で決議を取ってもらうことにした」

「それプレゼンするために用意した資料なんですか?」

「そうだ。国連総会のためにわざわざ作ったんだぞ」


 無駄なものを使いまわすようなトランスの性格は、きっと倹約家になれることだろう。


「それで、結局この案は通るんですか?」

「現状はおおむね好印象を抱いているようだ。先の戦闘もあったのだろう」

「しかしだいぶ大がかりな装置になりそうですね。これだけの装置群はどうするつもりなんですか?」

「装置に関しては、ジーナに頼んで旗艦級のバリア展開装置を見せてもらうつもりだ。後はそれを超大型核融合転化炉で量産するつもりだ。制御には、橙の旗艦で培った技術がある。それを応用する形だ」

「しかしそんな状況になる日なんて来るんですかねぇ?」

「きっと、いや必ず来る」


 トランスは言い切った。

 その後、国連総会で惑星バリア構想が公開で取り上げられ、各国で様々な声が上がった。

 賛成と反対がおおよそ半分ずつの割合で世論は形成される。

 これに真っ先に賛成したのは軍事参謀委員会、引いては国連安保理であった。

 国連安保理は先の地球侵攻の脅威を正しく理解していると考えているようだ。

 国連安保理は国連総会にある種の圧力をかけ、世界各国に賛同するように仕向ける。

 その結果、総会の2/3以上の賛同を得ることに成功した。

 そしてその結果をもとに、早速トランスは世界各地にバリア展開装置を設置する。

 その半分以上は海上に設置する形であった。

 海上に設置できない場合は地上に設置する状態になる。それは森の中であったり、山の頂上であったり、とある街中であったりと様々だ。設置困難な場所はトランスや国連安保理の担当者が直接出向き、その設置の価値を説いて回っていた。

 しかしそれでも首を縦に振らない場合、強硬手段として空中設置を行うのである。

 こうして施工期間1週間という短時間で地球を丸ごと覆いつくせるバリアの完成だ。


「あとは試運転をするだけだな」


 そんなことをトランスが言う。

本日も読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければ、下の評価ボタンを押していってください。また、ブックマークや感想も随時受け付けています。

次回もまた読んでいってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ