第116話 地球防衛戦 前編
地球では、どこのニュース番組でも、前代未聞の未曾有の危機に関してニュースを流しているのだった。
『皆さん上空を御覧ください。今まさに、地球は有史史上最大の危機を迎えています。現在手元にある情報に寄りますと、地球の安全を脅かしている白の艦艇が、月面にワープアウト装置を設置したとのことです。このワープアウト装置は、破壊されるまで白の艦艇を断続的にワープさせ、そして地球に差し向けるとの情報が入っています。この影響により、全世界、つまり地球の危機が訪れようとしています。この影響で、ダウ平均株価は大きく値を下げ……』
そんなことを放送するテレビは、危機感を煽っていた。
白の艦艇群が地球に到達するまで95時間を切ったところ、レッド・フリートは配置についていた。
「橙の旗艦の起動完了、橙の艦艇も準備完了。現在亜空間にて待機中」
「翠の旗艦、翠の艦艇も準備よし。いつでもいけるぜ」
「紅の旗艦、紅の艦艇群も準備OKです」
「よし。では行こうか」
そういって紅の旗艦を先頭に亜空間から通常空間にワープする。
ワープした先は、月面に設置されたワープアウト装置から1000km程度離れた場所だ。
そこから艦隊の最高速度であるマッハ2程度でワープアウト装置を強襲する。
「うまく行きますかね?」
ワープアウト装置までの道中、黒島が不安そうにトランスに尋ねる。
「うまく行かなかったら地球の危機だ。それ以外何もない」
「そうかもしれませんけど……」
「黒島、不安なのはみんな同じだ。今はそれを飲み込んで自分の仕事に集中しろ」
「全然そんな事思ってませんけどね」
そういってレイズがトランスに反論する。
「今不安になるのは仕方ないことです。問題はそれをどれだけ小さくできるかだけです」
「レイズは紅の旗艦の生体艦長だからな。そういうことが言えるんだろう。だが黒島は一人の人間だ。こんなところで空気がなくなってもみろ、簡単に死んでしまうぞ」
「そうならないようにサポートするのが私の仕事です」
そうレイズが言う。
「……まぁレイズがそういうならいいんだろうけどな」
そういってトランスは橙の旗艦の調整に入った。
黒島はレイズのことを見る。その顔は少し凛々しく見えた。
そうして30分程移動すると、前方に白の艦艇の群れが見える。
「作戦は頭に入っているな?」
「まずは翠の艦艇群が白の艦艇群を攪乱して、紅の旗艦のために道を開けるんだな」
「そして紅の艦艇群と橙の艦艇群が、その開けた道を通ってワープアウト装置の元に行き、そして装置を破壊する」
「俺は後方で橙の旗艦と橙の艦艇群を監視している。くれぐれも撃沈だけは免れてくれよ」
「もちろんだぜ」
「そう簡単に沈みはしませんよ」
そういってレッド・フリートは行動に移った。
まず先陣を切るのは、翠の旗艦とその艦艇群である。
「おっしゃ行くぜ!」
翠の旗艦はトップスピードで、白の艦艇群へと突撃する。
その速度はマッハ10にも達する速度だ。それでいて精密な操縦技術によって白の艦艇群にぶつからないように移動していく。
その交差時に、翠の艦艇群は白の艦艇群を撃墜していく。
たった数十秒の間に白の艦艇は何千と墜ちていった。
それによって、白の艦艇群の注意は翠の艦艇群へと移る。
白の艦艇の群れが全体的に翠の艦艇群の方向へと寄っていく。
それを見た紅の艦艇群と橙の艦艇群は移動を開始する。
「今が好機だ。白の艦艇群を墜として墜として墜としまくれ」
後方にいる黒の艦艇群から、トランスが指示を出す。
それを聞いた、血の気の多い橙の艦艇群のプレイヤーは、我先にと白の艦艇群に向けて突撃する。
それと同時に紅の旗艦を先頭に、紅の艦艇群も突撃する。
目標はワープアウト装置だ。
月面に建設された装置は、大きさが10kmにも及ぶ程巨大なものであった。
これを一撃で破壊するためには、機関部を正確に狙い撃つ必要がある。これを可能にするには、紅の旗艦に装備されたある装備が鍵になる。
「二重銃身回転式狙撃銃準備」
そう、この装備だ。
しかし、それを阻止しようと、白の艦艇群がやってくる。
だが、それを橙の艦艇群や紅の艦艇群が防御に入りながら攻撃を行う。
紅の旗艦自身も、防衛のために白の艦艇群に向けて攻撃を行っていく。
しかし白の艦艇群の絶対数が多い。防戦一方になるばかりである。
「黒島君!下方向から来るよ!」
「ぐぉ!」
月面を横に見ながら、紅の旗艦はワープアウト装置に向けて突撃する。
「機関出力をライフルに直結!航法を慣性に移行!」
「機関出力増加!224%!すべてをライフルに供給!」
レイズが指示を出して、紅の旗艦はワープアウト装置を攻撃する準備をする。
しかし、この状態は無防備にもなるのも同然だ。
そのために、紅の艦艇群が紅の旗艦周辺に固まって、旗艦のことを防衛する。
そして目的の装置が見えてくる。
「もう少し。もう少し……」
レイズは狙いを定める。
それを支援するために、前方にいる白の艦艇群を主砲によって払いのける黒島。
そしてその時はやってくる。
「今!」
ライフルから砲撃がされる。
ビームは一直線にワープアウト装置へと到達し、内部にある動力源の機関を破壊した。
これによってワープアウト装置は大爆発を起こし、完全に装置としての機能を失う。
「よっしゃ!」
「ここまでは前段作戦だ。その後に注意しろ」
トランスから注意が飛んでくる。
そう、ここからが本番だ。
ワープアウト装置から出てきた白の艦艇群をすべて撃沈するという、やらなくてはいけないことが残っているのだ。
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