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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
序 章

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プロローグ・ペルモリ王国の滅亡~歴史の裏に消え去った~

序 章



     プロローグ・ペルモリ王国の滅亡~歴史の裏に消え去った~



「ランシア・ロスフェール・ティアナ=マー・アスニア大公令嬢! 貴様のような下賤の血を引く悪辣な女がこの私、ペルモリ王国王太子、ダルス・プルーヌ・リーサンの妃になろうなどと、思い上がりも甚だしい!! 貴様とは婚約を破棄し、ここにいるペルーシカ公爵家の正第一令嬢、フォリス・サンセマ・アーミィ=ガー・ペルーシカを我が伴侶とし、未来の王妃とする!!」


「嬉しいですわ! リーサ王太子殿下! わたくし、ペルーシカ公爵家の正第一令嬢、フォリス・サンセマ・アーミィ=ガー・ペルーシカ。謹んで拝命いたします!!」



 国王、王妃、側妃、その他王子王女と、重臣である貴族が集まり、隣国より迎えた国賓が入室した瞬間。


 ペルモリ王国の(一応)王太子である正妃の第一王子が、突然憤怒の表情で怒鳴り散らし、その横に寄り添うように立つ公爵令嬢が頬を染め、勝ち誇ったような表情で国賓である大公令嬢を見下した。


 

「「「「「「………………は?」」」」」」



 その瞬間。


 居合わせた全員が意味が分からずに呆気に取られて絶句した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……というのが、実際に起きたと言われている歴史です」


「え……と……?」



 皇都・アンシェを旅立ち、一日中馬車に揺られて体調不良が酷かった皇宮呪師こうぐうじゅしの青年・インス=ラントと、見習い呪師である幼児のアインは、初日の宿の浴室で一緒に入浴しながら、目的地であるバルバ島の歴史について話していた。



 ほんの数日前まで死にかけて入院していたというのに、雪と氷に閉ざされた極寒の季節に、遥か西の果て、不毛な地にある魔窟・バルバ島を目指す旅路に付き合わされる破目になったのは、ひとえにこの国の皇孫皇女の我儘。



 まだ夜も明けきらない早朝から馬車に詰め込まれ、酷い馬車酔いで文字通り簀巻きにされて運ばれたインスとアインが、宿の客室で一息付けたのは少し前。



 豪商向けのこの宿には、個室にきちんと浴室が完備されていて、客室付きの女性従業員が細々と準備をしてくれた。



 インスには少しぬるめの、アインには程よい温度の湯舟には、安眠を運ぶ宵紫草の入浴剤が入れられていて、薄く紫に色づいた湯がゆらゆらと湯気をあげている。



 すっかり冷え切っていた身体をゆったりと温めながら、湯に浸かるインスの腕に抱かれて、その胸に背を預けるアインは首だけ後ろに捻って、その優美な顔を見上げながら話を聞いていた。



 インスの、青みがかかった銀色の髪はタオルに包まれ、穏やかな表情は女性的で優しげ。



 赤みを帯びた紫色の眼差しが、アインの一見黒にしか見えない、深くて濃い紫色の瞳をこの上なく愛しげに見つめる。



 瞳と同じ色をしたアインの髪も丁寧に洗われて、インスと同じようにタオルに包まれている。



 子供特有の身体つきは若干痩せて丸みが少ないけれど、その瞳はぱっちりとして大きく、アインがまだ幼児であることを示す。



(……胸の怪我も……長く止血さえもできなかった左腕の怪我も、ちゃんと痕すら残さず完治はしているようですね……よかった……)



 上から見下ろす形になるインスが、さりげなくアインの全身を眺め、ゆっくりと湯を肩にかける。



 アインもまた、死にかけてほんの十日ほど前に退院したばかり。


 昨年秋ごろからの、過酷という言葉では生ぬるいほど過酷な事件に巻き込まれて大怪我を負い、極度の貧血に陥っている顔は、湯で温められてほんのり色づいてはいる。



 けれど、元々この国の民としても珍しい、病的なまでに白い肌は変わらず白くて、壊れ物を扱うように抱きしめるインスの手にほんの少し、力が加わった。



(……インス様、細くて、きれい……)



 そんなインスに体を預けるアインも、この国の男性の平均よりずっと低い、むしろ女性の平均身長程度しかないインスの、計測上の体重からは考えられない、均整の取れた裸体をそっと観察する。



(……僕、インス様に守って貰ってばっかりだ……)



 薄くて細いのに全体のバランスがとてつもなく良くて。


 アインは自分の頼りない手と比べるべくもない、大人の手の大きさに安堵と共に少しだけ悔しさも感じていた。

番外編第11弾、いよいよ開幕です!


前作での過酷な野営訓練を終え、心身ともに満身創痍のまま始まった極秘討伐隊の旅路。


その「裏側」を描く本作は、初日の宿に到着したインスとアインの、穏やかで少し切ないひと時から幕を開けます。


かつて存在し、そして滅亡した「ペルモリ王国」の、歴史の裏に消え去ったあまりにも奇妙な一幕です。


華やかな国賓歓迎の席で、突如として放たれた王太子の婚約破棄宣言。


歴史の裏に隠された、この不可解な一幕の真実とは一体何なのか……?


本編第3部の裏側となる旅路編をお楽しみいただけますと幸いです!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「テンプレ婚約破棄キタコレWW」「インスとアインの裸の付き合いWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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