クリスタル・ブルースの午後に
クリスタル・ブルースの午後に
アリス・ウォルトンは、薄いリネンの白いブラウスの袖を何度も小さく巻き上げては、また元に戻す癖を繰り返していた。ガラス越しに差し込むアーカンソー州の強い西日が、磨き上げられた革張りのデスクに置かれた、半分だけ中身の減った冷たいカモミールティーのカップを照らしている。彼女は、幼い頃に父親のサムがガソリンスタンドで買ってくれた、すっかり色の褪せたプラスチック製のキーホルダーを指先でせわしなく転がしながら、来週の美術館の展示スケジュールに目を落とした。父が遺した巨大な小売りの王国は今や世界中に広がり、彼女の手元には数え切れないほどの富が集まったけれど、彼女の頭を占めているのは、昨日買い付けに失敗した十九世紀の古い風景画の鮮やかな青色のことだけだった。
「アリス、新しいオークションのカタログが届いたよ」
部屋の扉を軽く叩いて入ってきた長年の秘書が、丁寧に製本された厚い冊子を机の端に置いた。アリスは生温くなったお茶に口をつけ、ほんの少しだけ顔をしかめてから、その冊子へと手を伸ばした。彼女の指先は、いつも新しい絵画のページをめくる瞬間にだけ、少しだけ小刻みに震えるのだった。父のサムが生きていた頃、週末に二人でよく行った古びたダイナーの、あの少し焦げたパンケーキの匂いが、なぜかこの豪華な部屋の空気の中に不意に蘇ってくるような気がした。
「ありがとう、後でじっくり見るわ。それから、今日の夕食はいつものステーキではなくて、あの街外れのベーカリーの固いクロワッサンが食べたいの」
そう言ったアリスの声は、少しだけかすれていた。彼女は立ち上がり、お気に入りのジーンズのポケットに両手を突っ込んで、窓の外に広がる緑豊かな庭園を見つめた。あの頃の父の背中はいつも大きくて、そしていつもディスカウントストアの未来について熱く語っていた。アリスは窓ガラスに映る自分の白い髪をそっと撫で、自分がもう七十六歳という年齢になり、父が亡くなった歳に近づいていることを静かに受け止めていた。




