二つ目の愛⑦
目が覚めると外は未だ暗く、月明かり越しに部屋のデジタル時計は3:10と示されていた。
細目のまま横に寝返りをうつと自分と同じ背格好の物体が在るのが認識できた。少し驚いたが記憶を振り返ると数時間前に自分のとった行動が思い出され納得した。
瞼が軽くなり目を見開くと二つの目が私の目と合った。また少し驚いたが『おはよう。と言うにはまだ早いけど。本当に助かりました。』と先生は言った。『もう大丈夫なんですか?』と問うと、『まだ違和感はあるけど大分ましになったよ。』と言い再び目を閉じたので私も仰向けになり再び目を閉じた。
しばらく沈黙が続き先生の口から『中川さんは周りから反対されようとそれでもその人が好きならどうする。』またいつもの例え話かなと思い、『自分の心に従います。恋愛はお互いの間に成り立つものであり他人の非難に左右されてはならないと考えます。』と答える。
『やっぱり中川さんは真っ直ぐで芯を持ってる。それは美徳だよ。』と言ったあと一呼吸起き、『好きな人がいるんだ。ちゃんと自分らしさがあって決してぶれない。なのに不安定で支えたくなる。でもねその愛は決して実らないと思う。』声のトーンが低くなるのが分かる。
『それでも私はその感情を伝えるべきだと思います。でないとそこには後悔が生まれてしまうから。』少し悲しげに言うと先生は鼻をズビッとすすっていた。どうやら泣いているらしい。『私先生のこと尊敬してます。私の知らないこと全部知ってて、優しくて、いつも助けてくれて。だから今日少しでも先生を助けられて嬉しかった。』次の言葉を発する前に先生の唇が私の唇を塞ぎ私の口から言葉は出ることはなかった。




