プロローグ
<貴女はコード番号001(ダブルオーワン)。終末の使徒です>
その声に呼び起されて、私は目を開けた。
眩しい……。
ただただ、真っ白な空間。
そして、そこに光り輝く『何か』。
空間に満ちた容赦のない輝きが、私の目を突き刺す。
その眩さに耐えきれず、目を閉じた。
<もう大丈夫です。光量を落としました>
再びゆっくりと目を開ける。
何もない白い空間なのは同じだ。
家具どころか、壁も床すらも存在が見えない。
ただし、輝く『何か』が消えていた。
声だけが聞こえる。
頭の中に反響して聞こえた。
<貴女を転生させました。魔力的成長の促進のため、五歳で現世に送り込みます。わたくしの使徒に貴女の面倒を見るように伝えておきました。心配は不要です>
「転生……。五歳? 使徒……?」
自分の身体を見下ろして確認する。
たしかに幼児の身体だ。
何も着ていない。
真っ裸だ。
素っ裸の幼女が立っていた。
でも、自分の本来の年齢が分からない。
転生?
生まれ変わり?
<はい。わたくしの使徒として、貴女に命を与えました。貴女の役割は世界の混乱を平定して、悠久に続く平穏な世界を人類に与えることです。それが貴女のミッション。コード番号001(ダブルオーワン)の使命>
世界の混乱の平定?
私が?
よく分からない。
そもそも、この声は誰なのだろうか…。
「貴方は誰? ですか? いや、そもそも私は誰……?」
<わたくしのことを人類は『女神』と呼んでいるようですね。うふふ>
笑い声が聞こえたが、何故か笑っているように聞こえなかった。
ただの接尾語に思えた。
<貴女は……、そうですね。終末の使徒に相応しい名前を、わたくし自らが与えましょう。貴女の名前は……、ラ、いや、『ローラ・アフ・ラーズドッティル(Laura af Larsdóttir)』。魂のテーマは『空間』です。それでは行ってらっしゃい>
クラっと眩暈がした。
空間が再び光り輝いた。
反射的に目を瞑ると、世界が、歪んだ気がした。
思わず、しゃがんで両膝を抱えて丸まる。
一瞬だけ、家族の様な人たちの姿が頭に浮かんだ。




