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第31話 「凱旋」

瘴気の源を浄化した翌日、25人は王都への帰路についた。

体はまだ疲れているが、心は晴れやかだった。


荒野を歩く途中、既に変化が見え始めていた。

昨日まで枯れていた土地に、小さな緑の芽が顔を出している。


「見て......」

マリアが指差す。

「草が、生えてきてる」

「瘴気が完全に消えたから、大地も生き返り始めたのね」

フローラが嬉しそうに言う。

道中、何度も動物たちの姿を見かけた。

鳥、兎、鹿。

生命が、この大地に戻ってきている。


三日目、彼女たちは小さな村を通りかかった。

瘴気に覆われていたはずのその村は、既に人々が外で活動していた。


「あ、あなたたちは......!」

村人の一人が、25人に気づいて叫んだ。

「チアダンサーたちだ!」

「光の踊り子たちが来た!」

瞬く間に、村中の人々が集まってくる。

「ありがとうございます!」

「瘴気が消えたんです!」

「本当に、本当にありがとう!」

人々は涙を流しながら、感謝の言葉を伝える。

「私たちこそ、ありがとうございます」

ミナが深く頭を下げる。

「皆さんの歌があったから、勝てたんです」

村人たちは、25人のために食事を用意してくれた。

そして、その夜は村を挙げての祝宴となった。


王都に近づくにつれて、道には多くの人々が集まっていた。

彼女たちの凱旋を一目見ようと、各地から人々が駆けつけていた。

「見て、すごい人......」

ニーナが圧倒される。

道の両側に、何千人もの人々が並んでいる。

そして、25人が通ると、一斉に歓声を上げる。

「勝利万歳!」

「チアダンサー万歳!」

「世界の救世主たち!」


王都の城門が見えてきた。

そこには、国王陛下自らが、宮廷魔術師たちや騎士団と共に待っていた。

そして、セレナの姿も。

「セレナ!」

ミナが駆け寄る。

二人は抱き合い、涙を流す。

「おかえりなさい」

セレナが声を震わせる。

「本当に、本当によく頑張りましたね」

「セレナのおかげよ」

ミナが答える。

「あなたの助言がなければ、勝てなかった」


国王陛下が前に進み出た。

「チアダンサーたちよ、そして共に戦った勇者たちよ」

陛下の声が、広場に響く。

「君たちは、この世界を救った」

「何百年も続いた瘴気の脅威を、完全に取り除いた」

「その功績は、永遠に語り継がれるだろう」

陛下が一人一人に勲章を授ける。

それは、最高位の英雄に贈られる「光輝勲章」だった。

王城の大広間で、盛大な祝賀会が開かれた。


各地から代表者たちが集まり、25人に感謝の言葉を伝える。

北部工業地帯の工場長。

「君たちから、協力することの素晴らしさを学んだ」

東部農業地帯の農民代表。

「自然と共に生きる喜びを、改めて感じさせてくれた」

西部山岳地域の村長。

「諦めない心の大切さを教えてくれた」

南部商業都市の商人ギルド長。

「異なる文化を理解し合う重要性を示してくれた」

中央部学術都市の大学長。

「学び続けることの意味を、改めて気づかせてくれた」

沿岸部港湾都市の港長。

「仲間を支え合う絆の強さを見せてくれた」

国境要塞都市の司令官。

「平和への道を、照らしてくれた」


夜になり、祝賀会も終盤に差し掛かった頃。

ミナが立ち上がり、静かに語り始めた。

「皆さん、本当にありがとうございました」

広間が静まり返る。

「でも、この勝利は私たちだけのものではありません」

ミナが続ける。

「皆さん一人一人の想いがあったから、勝てたんです」

「労働歌を歌ってくれた職人の皆さん」

「収穫歌を歌ってくれた農民の皆さん」

「それぞれの土地で、自分たちの歌を歌ってくれた全ての皆さん」

ミナの目から涙が溢れる。

「あなたたちの力があったから、世界を救えました」

ユカも立ち上がる。

「私たち、最初は何もできない、無力な存在だと思っていました」

サキも続ける。

「でも、皆さんと出会い、色々なことを学んで」

「強くなれました」

一人、また一人と、25人全員が立ち上がる。

「ありがとうございました」

25人の声が、一つになって響く。


広間にいた全ての人々が、拍手で応える。

それは、何分も続く、心からの賞賛だった。


その夜、25人だけの時間が設けられた。

城の屋上で、星空の下に座る。

「いよいよね」

ミナが呟く。

「明日、セレナが帰還の魔法陣を用意してくれる」

「私たち、元の世界に帰るのね」

ユカが寂しそうに言う。

17人の仲間たちは、静かに聞いている。

彼らも分かっていた。

8人は、異世界から来た存在。

いつかは、帰らなければならない。

「僕たち、寂しくなります」

エルネストが正直に言う。

「でも、仕方ないですよね」

マリアも涙をこらえる。

「皆さんには、元の世界に帰るべき場所がある」

トーマスも納得している。

「ごめんね」

ミナが謝る。

「私たち、勝手に来て、勝手に帰ることになって」

「違います」

レインが首を振る。

「皆さんは、勝手なんかじゃない」

「私たちに、たくさんのことを教えてくれた」

フローラが続ける。

「勇気、希望、絆の大切さ」

アルトも言う。

「これからも、その教えを胸に生きていきます」

ニーナが立ち上がり、何かを取り出した。

それは、小さな音響水晶だった。

「これ、皆さんに」

ニーナが8人に渡す。

「私たちが歌った歌を、記録しました」

「元の世界に帰っても、この歌を聞けば」

「私たちのことを、思い出してください」

8人は、その水晶を大切に受け取った。

「ありがとう」

サキが涙声で言う。

「絶対に、大切にするわ」


17人も、それぞれ8人に言葉を贈る。

「ミナさん、本当のリーダーシップを教えてくれて、ありがとう」

エルネストが深く頭を下げる。

「ユカさん、サキさん、完璧じゃなくてもいいって教えてくれて」

レインが感謝する。

「ハルさんの粘り強さ、忘れません」

「アオイさんの冷静さ、見習います」

「エマさんの学ぶ姿勢、尊敬してます」

「リコさんの明るさ、大好きでした」

「カノンさんの音楽、心に残ってます」

一人一人の言葉が、8人の心に深く刻まれる。


「みんな」

ミナが涙を流しながら言う。

「私たちも、絶対に忘れない」

「ここで過ごした日々を」

ユカが続ける。

「共に戦った時間を」

サキも涙を拭う。

「そして」

ハルが力強く言う。

「いつか、また会えるかもしれない」

アオイが続ける。

「世界が違っても、心は繋がってる」

エマが微笑む。

「だから、寂しくても大丈夫」

リコが明るく言う。

「私たちは、永遠の仲間だから」

カノンが締めくくる。


25人は、最後の夜を共に過ごした。

語り合い、笑い合い、そして時々泣いた。

思い出を振り返り、未来への希望を語った。

星空が、彼らの友情を見守っていた。

明日、別れの時が来る。

でも、今夜だけは、まだ25人は一緒だった。

そして、その絆は、永遠に続いていく――。



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