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慈愛の聖女  作者: クー
第3章 第三回公式イベント~本戦編~
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シスコン現る…


真っ白な世界に飲み込まれて暫くすると、目の前に見慣れた景色が現れます。

……試合が終わったのですね


「皆…大丈夫やったか?」


本戦一回戦の試合が終わり、カフェ"プレジール"に転送された私達は師匠の言葉で敗北を悟りました。


「あの…私達は…」「そうね…負けたみたいね……」


「やっぱりそうですか…とても悔しいです……」


「私もよ…」


「俺もアーサーに手も足も出えへんかった……」


「私もお嬢様をお守りできませんでした……」


先程の戦いは私達の完敗です。

師匠の相手はあのアーサーさんで、終始圧されていたみたいで、フィルちゃんもあのゼルトナーという方にかなり苦戦していたようです。

私とユキナはガウェインさんと強化したエリサさんに手も足も出ませんでした……


このままじゃ優勝なんて出来ません……

私達は負けていった方や応援してくれる方など沢山の方の想いを背負っています。

もっと強くならないと……


「シア」「……」「シア!」


「!?…フィルちゃん…何でしょうか?」


「あなた思い詰めすぎよ…気持ちは分かるけどプレッシャーに負けると、勝てるものも勝てないわよ!」


「その通りだね」


「「「「!!……」」」」


「やあ。」


「誰や!?」


「も、もしかしてお兄様ですか!?」


「そうだよ。試合見させてもらったよ」


「つ、司さん…お、お久しぶりです!」


「ここはゲーム内だからプレイヤーネームで頼むよ…フィル」


「ひゃ、ひゃい…し、シュラインさん」


「ち、ちょっと!カデナ…あれって本当にあのフィル様なの?」


「リベットちゃんが疑問に思うのも分かります…いつもは凛々しい感じなのに完全に乙女状態ですもんね……」


「あ、あら…リベットさん、カデナさん…もう到着してたのね」


「必死で取り繕ってるフィル様…可愛い」

「メス顔からキリッとした顔になるギャップ…たまりません……」


「も、もう!…何を言ってるのよ!…時間もないし今後の事を話し合うわよ!」


「「お願いします!…」」


「フィル…その話僕が預かっても良いかな?」


「えっ!?…し、シュラインさん…どういう事でしょうか?」


「事情はあの試合で大体把握してるし、フィルはこの後もすぐに試合でしょ?」


「そうですね…本戦一回戦は上位2パーティーまで次に進めますものね…負けた私達が勝ち進むなんて、少し納得出来ませんが……」


「?…ああ、君達は確かに勝負には負けたみたいだけど、試合には負けてないよ」


「どういう事でしょうか?」


「順位を見てごらん?」


「あっ…私達が首位のまま……」


「本当です……」


「モニターで見てた感じ、全員あの魔法を受けてもギリギリ残ったみたいだよ…

まあ耐えたって言うより、時間切れで逃げきったって言った方が正しいかな」


「…勝負に負けて、試合に勝ったって訳ね…あまり嬉しくないわね……」


「せやな……」


「次は絶対に勝ちます!」


「皆さん頑張って下さい!」

「モニターからですが、応援してます!」


「それで…話を戻すけど、そちらのお嬢さん二人の問題を僕が解決しても良いかな?」


「シュラインさんなら安心して任せられます!…リベットさん、カデナさん…私が解決してあげたかったけど、シュラインさんなら絶対に良い結果になるから安心して!」


「フィル様がそう言うのなら……」

「フィル様が絶対って言いきるぐらい信頼されてる方でしたら、私も安心出来ます」


「先から気になってたけど、フィル"様"ってなにかしら?…私、そんな敬われる人じゃないわよ……」


「何を言ってるんですか!…あなたは様呼びに相応しい方ですよ!」

「そうです!」


「でも、私…大口を叩きながらあの男に勝てなかったわ……」


「確かに勝てなかったですが、負けてもいませんよね?」

「その通りです!…あれは引き分けです!」


「…ありがとう」


「それに、もし負けたからって私達の信用は揺るぎません!」

「リベットちゃんの言う通りです!…なので、伸び伸びやってください!」


「本当にありがとう…すごく力をもらったわ…次は絶対に負けないんだから!」


「応援してます!」

「頑張って下さい!」


「フィル…力を貰えたようで良かったね!…もちろん僕も応援してるから頑張ってね!」


「はい!…ありがとうございます!」







「なあなあ…フェリシアちゃん…」


「何でしょうか?」


「フェリシアちゃんの兄貴ってシュラインやってんな」


「お兄様をご存じなのですか?」


「もちろんや!…あまりログインしてないのに、トッププレイヤーの一角を担うほどやからな。

フェリシアちゃんもかなり強いから、そら兄貴も強いわな」


「お兄様は私よりも強いので当然です!」


「フェリシアちゃん……そのドヤ顔は反則やで…可愛すぎるわ…」


「えっ…そ、そんな事急に言われたら照れちゃいます……」


「す、スマン!…思ったことが口から出てもうた……」


「はぅ……師匠!…少し口を閉じててください!」


「……」


「あなたが妹の面倒を見てくれてるパンダモンさんですね?」


「うぉ!?……ビックリした…全然気配なかったんやけど……」


「あっお兄様…お話は終わったのですか?」


「うん。こっちは問題なく対応出来そうだよ。

それで、パンダモンさん…妹を口説くのはどう言う了見ですか?」


「うっ!…く、口説いていたワケやない……」


「本当ですか?」


「あ、ああ…誓って嘘やないで」


「……そう言うことにしときましょう」


「なんちゅう圧や…怖すぎやで……」


「スミマセン…妹に不埒な想いを抱いているか確めさせて頂きました。」


「さ、さようか…それで俺は合格かいな?」


「一先ず保留ですね…今後、妹に手を出したら……」


「だ、出さんから!…とりあえずその殺気引っ込めてくれ!……シュラインってこんなにシスコンやったんか……」


「妹は昔から危なっかしいので、これぐらいで丁度良いのですよ」


「初めてユキナさんと会った時を思い出すなぁ……」


「パンダモンさん…ユキナはあなたを認めてるみたいですが、私はまだ貴方を認めていないのでそのつもりで……」


「……」


「もう!お兄様…師匠に失礼ですよ!」


「確かに礼儀が欠いてたね…申し訳ございません。パンダモンさん」


「あ、ああ、別にええけど…」


お兄様ったら…私の事になると過保護になりすぎです……

師匠の気分を害してしまいました…後でもう一度謝罪しないとですね。


それに私だってもう高校生ですから、そこまで過保護にならなくても大丈夫なのに……

そんなことを考えてると、ユーピョンさんが私を呼ぶ声が聞こえました。



「フェリシアちゃんお疲れ様!」


「ユーピョンさんごめんなさい!…折角応援していただいたのに、負けてしまいました……」


「誰もやられてないのでしょ?…なら負けてないじゃない!」


「で、ですが…凄く不利な状況でしたので、あのまま戦っていたら恐らく……」


「そう思うなら、次勝てば問題ないじゃないかな?」


「あっ!…ユーピョンさんの仰る通りです……」


「そうでしょ。もちろん次も応援するから頑張ってね!」


「ありがとうございます!」


「そ、それでね…あのシュラインって男の子がフェリシアちゃんのお兄さんなの?」


「そうです…あちらが私のお兄様です」


「そ、そうなのね…一つ聞いても良いかしら?」


「何でしょうか?」


「あ、あのさ…シュラインさんって彼女とかいるの?」


へっ?……どうしてユーピョンさんがお兄様に彼女がいるかどうかを知りたいのでしょうか?


「え、えっと…どうしてでしょうか?」

「そうよ…ユーピョンさんは、どうしてそんなことを知りたいのかしら?」


フィルちゃん!?…急に現れました…相変わらずお兄様の事になると反応が違います……


「!?…ふ、フィルちゃん…お疲れ様。

えっと…シュラインさんに彼女がいたら解釈違いかなって……」


「「?……」」


「解釈違いってどういう事でしょうか?」


「シュラインさんには是非受け…いや!ここは攻めをやって欲しいのよ!」


「「?……」」


「やっぱりフェリシアちゃん達はノーマルだから分からないよね……」


「分かります!…そうですよね!…シュラインさんは受けかと思いきや、先程のパンダモンさんとのやり取り…是非攻めで輝いて欲しい人材だと思います!

攻めも受けも出来る最高の存在…

そもそも顔面の力が強すぎるのが最高です!

それと、……………………………………………………………………………」


「分かる!…カデナさん…あなた最高ね!

私的にはシュラインさんのアへ顔をもっとさらして欲しいかな!

もちろんドS顔で迫るシチュも最高ね!

それと、……………………………………………………………………………」



ユーピョンさんとカデナさん初めてお会いしたハズなのに凄く息ピッタリです。

二人の邂逅はまるで混ぜたら危険な薬品のように破壊力があり、現に私以外の皆さんは謎のエネルギーを感じたのか、どこかへ行ってしまいました



「ユーピョンさんやカデナさんが仰っている事が良くわからないのですが……」


「うーん…フェリシアちゃんは知らなくても良いかな……」


「そうですか……」


「うっ…罪悪感が……」


「シュンとしてる顔も可愛い…ここの方達の顔面偏差値高すぎません?」


「それは常々思ってるわ…それに、今日はフェリシアちゃんのお兄さんのシュラインさんもいるから特に凄いわね……」


それからまた、ユーピョンさんとカデナさんの話が盛り上がり始めます。

私にはまだ早い大人の話みたいなので、師匠達の方へ場所を移動する事を決めると、そこには師匠vsお兄様、ユキナ、フィルちゃんみたいな構図で、詰め寄られてる師匠がいらっしゃいました……


あれ?…先ほどお兄様が謝罪してこの件は終わってませんでしたか?…それに先よりも悪化してません……?


「い、いやだから…フェリシアちゃんをその、女性として見てないから心配せんでも…」


「へぇ…妹は女性として魅力がないと?」


「そうは言ってへん!…ただフェリシアちゃんを恋愛対象として見てへんって事や!」


「お嬢様に欲情しないって正気ですか!?」


「欲情って…やっぱりユキナさん……」


「ユキナ……もしかして君…」


「よっしゃ! 一対三からニ対ニになったで!」


「私パンダモンさん側についたつもりはありませんが……」


「な、なんやと!?……」


「お嬢様を狙うものは全て敵なので……」


「いやだから狙ってへんし……」


「正気ですか?」


「どっちを答えても正解がないだと……

俺は何て答えるのが正解なんや…?」


「諦めるしかないわよ……」


「……」



「えっと…どういう状況でしょうか?」


「私も良く分からない状況ね……」


「もうお兄様!…師匠にご迷惑をお掛けしてはダメって言ったではありませんか!」


「迷惑はかけてないよ。ちょっと聞きたいことがあるだけさ。

それにパンダモンさんだって嫌がってはいないでしょ?」


「確かにそうですが…」


師匠が迷惑に思ってなければ良いのでしょうか?

でも、恥ずかしいので、私の事をどう思っているかを話し合わないで欲しいです……

そんなことを思っていると、フィルちゃんから救いの手が差し伸べられます。


「し、シュラインさん…次の試合まで5分切ってます!」


「そうだね。時間もあまりないからそろそろ結論を出しましょうか。

パンダモンさんは妹の事を恋愛対象として見てないで間違いないですね?」


「お、おう……」


「少し動揺してるのがちょっと怪しいですね……」


「そ、そんなことあらへんで」


「……まあ良いでしょう…言質は取ったのでお忘れなく……」


「お、おう……」


一先ずこの話題が流れて良かったです……

次の試合まであと僅かですね…そろそろ準備をしないといけませんね。


先程の試合で何かスキルでも増えてないかステータス画面を開こうとした瞬間、店の扉が勢いよく開かれて一人の女性が入ってきました。


この方が来るのがあと数分遅れてたら、次の試合で惨敗してた事でしょう……

そう、この数分が勝敗を分けたのでした。










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