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覚悟と志を胸に

「いいのか、アルフに顔見せなくて」


「いいわよ、別に。会いたいわけじゃないし」


「へー」


「何よ」


エメはジト目でこちらを見た。それが鬱陶しくて私は顔を背けた。


「素直になればいいものをさー。ていうかお前ずっとそうだよな。塀の中でも外でもずっと」


「いいでしょ別に。会ったらもっと辛くなっちゃうし.....」


「なんかお前失恋した乙女みたいだな」


「う、うるさいわねッ!放っておいてよ」


「無駄口を叩いてる場合か。準備しろ」


次は鬱陶しい声が耳に入ってくる。よく考えてみればこの部屋はそんなものばかりだ。


「わかってるわよ。それと偉そうに指図するのはやめて」


「ふん。これだから下等な魔女は...」


こいつとは、死んでもウマが合わない気がする。


私は魔道具を体に装着していく。あれ以来、この魔道具には頼りきりだった。それほどまでにこの魔道具は私に馴染む。


「それであの件はいいのか?」


「好きにしなさい。その代わり、あんたは本格的に脱獄犯として扱われて、より厳しい処罰が下るわよ。最悪、磔かも」


「死に方なんでどうでもいいんだよ。どうせ死ぬしな。どうせ仲間はかなりの数必要なんだろ?」


「まあ.....そうね」


実際のところ、軍の中でもウルド派閥がほとんどだったから味方がほとんどいない。そのため今は出来る限り多くの構成員が必要なのだ


「はあ」


頭が痛い。


「ため息つくなよ。幸せが逃げるぜ?」


「逃げるほどの幸せがどこにあるのよ」


私はそう言い捨て、魔道具を起動させる。魔道具は私の魔力を取り入れ、青く発光する。


その青白い光と立てられた一本のロウソクだけが私たちを照らした。


これは私が決めたことだ。後悔なんてない。


「行くわよ」


「おう」


「・・・」


私が壊れるまでに、全てを破壊する。





「それはどういう....?」


「残念ながら、彼女たちも呪詛学会に加担していたのでしょう」


「いや、そんなはずはッ!」


「ではなぜ彼女たちは消息を断っているいるのでしょう?」


「それは.....」


確かにウルドが殺され、それと同時にサラとエメがに消えるのは怪しい。けど俺はあいつらがそんなことをしない、いやするわけが無いと知っている。


何か事情があるはずなんだ。


「彼女たちは軍のいえ、国の恥です。厳正な処罰を与えなければなりません」


「・・・」


「でもご安心ください。現在、有志を募って軍を再編成しましたので学園の安全は守られます」


「再編成?」


「ええ。実を言うと私も軍人ではないのですよ。元々は国に仕えていたしがない護衛です」


なるほど。軍服を気慣れていないとはそういう事か。


とにかく、一度あいつらに会ってわけを問いただしたい。


「おっと。そろそろ時間が来てしまいました。私はこれで失礼します。学園長様、あなたも出席を」


「わかりました」


「アルフ先生、でしたっけ?断頭式楽しみにしていてくださいね?きっと楽しい催しになりますから」


「・・・。」


エリーゼと学園長はその場を去り、俺だけが残された。


学園長室を出ると、扉の脇にニアが立っていた。


ニアはこちらを驚いたように見上げる。


「アルフ先生!今までどこに行っていたんですか?それに中で何を話してたの!?」


ニアはなぜかパニックを起こしていた。


その後俺はニアの質問攻めに思わず閉口することになる。

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