友人の行方
「どうぞ」
その声と同時に俺は再びゼロを隠す。
学園長はそれを確認した後、そのノック音に呼応する形で合図を返す。
「いやぁ。ようやく会えましたね、学園長殿。どこへお出かけになられていたのですか?」
入ってきたのはサラが来ていた黒い軍服を身にまとった女だった。しかしその身なりは凡そ軍人には見えなかった。
特に気になったのは首につけられた派手目なチョーカーと度のきつそうな丸メガネだった。
「しかし動きにくいですね。なれない軍服というのものわ」
快活に笑う女。その奇抜さに反して声は透き通っていて綺麗だった。
「申し訳ありません。少し出ていたもので」
俺たちは確かにここにずっと居たはず。つまりあの学園長の魔法によって一時的にどこかへ移動していたということだろうか。
「いえいえ。時間なら腐るほどありますので」
「それで何か御用が?」
「ええ。この度は本当に迷惑をおかけしてすいませんね。まさかこんなことになるなんて」
「?」
俺はここしばらくここを離れていたので、状況が把握出来ず、首を傾げることしか出来ない。
「いやはや、まさかご存知ない?」
「彼女は先日の作戦に参加していたのです。知らなくても無理はないでしょう」
「ではご説明しても?」
女はチラリとニーナを見た。
「ええ。構いません。でも学生がいてはまずいですね。退出をお願いします」
その時学園長は一瞬俺の方を見た。どうやらゼロも、ということらしい
俺はほんの少しレーネの手に触れた。これで伝わるだろうか......。
すると今度はレーネはレーネから逆に手の甲で触れてきた。恐らく伝わったのだろう。
「はい。それでは失礼致します」
ニーナは一礼をして、扉を大きく開けた。
俺たちはニーナが退出し、扉が閉まるのを見送ってから話を続ける。
「申し遅れました。私はエリーゼと申します。あなたは?」
エリーゼがこちらに微笑む。
「俺はアルフというものです。ここで教員やらせて頂いています」
「そうですか。だからこの間の作戦に参加されていたのですね。それにしてもあなたは運が良い。まさか無事に帰ってこれるなんて」
「それは.....どういう意味ですか?」
「そのままの意味ですよ。今回の作戦で無傷で帰ってこれたのは極わずかで他は皆死んでしまったり、重い傷を負って帰ってきたものがほとんどです」
「なるほど....」
やはり、今回の作戦失敗はかなり大きいようだ。
「話はここからです」
「?」
ここでエリーゼの口調がさらに重くなる。
「その後、軍は内部分裂を起こし実質的な崩壊という形になりました。そして今回の騒動において呪詛学会に不可欠なのは情報です。その情報をリークしたものが軍の関係者にいたのです」
それは間違いなくウルドのことだった。あいつはあの後捕まったのだろうか。
「ウルド=ゾーイ。彼は優秀な人間でした。しかし今回の件で残念ながら死んでしまいました」
「死んだ........?」
いや、そんなはずわ.....。俺が行った時には確かに生きていたはずだ。
「頭が風船みたいに破裂して」
「・・・。」
「そしてこの件に深く関わり、国に謀叛を起こしさらには呪詛学会に寝返った人物。マリー=メディダ及びエメラダ=アローナ他関係者を国家転覆罪で指名手配中です」
「.........?」




