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鼓動が聞こえる

ステンノが進むたびに、黒い壁は溶けていくように消えていった。


この化け物の中にいると感覚が狂っていく。 まるで深い森に居るような錯覚を覚える。


俺はその茂みを掻き分け進む。


しかしどんなに進んでもレーネは見つからない。


「レーネっ!!どこだ!!!」


もはや自分が前に進んでいるかもわからない。


「ステンノ、レーネはいたか?」

【この先に強い魔力を感じる。だから近いよ】

「本当か!?」


俺はそれを聞き、一心不乱に前に進む。


そしてステンノが目の前の厚い肉壁を溶かした時、隙間から鈍い光を感じとる。


そこには一匹の黒猫が横たわっていた。


しかし、俺にはすぐにわかった。


それは紛れもなく元の姿のレーネだと。


「レーネッ!!!!」


俺は必死に駆け寄ろうとするがなぜか足が動かない。


下を見ると糸状に細く編まれた魔法陣が足に絡みついていた。


ここは化け物の体内のはずなのになんでこんなことまで.......。


とにかくこんなもの早く取り払ってレーネを....。


俺は足に絡みついている魔法陣を取り外そうと爪をたてる。

しかし皮膚の表面が削れるだけで取れる気配がない。


よく見ると魔法陣が皮膚に焼き付いていた。


魔法による刻印が直接皮膚に施されてるのか.....。


「ステンノ、何とかならないのか!!」

【何とかできるけどそれには君の同意が必要だ】

「同意....?なんのだ」

【今からこいつを彼女から引き剥がす。それから引き剥がしたものを私と統合するんだ】

「それになんで同意が必要なんだ?」

【統合した時、この膨大な魔力の元になったもの情報体を全てあなたに取り込む】

「それはつまり......」

【あなたはこの魔力の犠牲になった全ての子供たちの記憶を受け止めることになる。それでもいいの?】

「わかった。それでレーネの元にいけるなら」

【やっぱりそう言うか。そんな気がしてたよ。じゃあこの枷を外したら彼女にブレスレット付けて。そしたら解体を始めるから】


そう言うとステンノは俺の足に絡みつく。


するとステンノのスライム状の黒い半透明な液体の中で魔法陣が溶かされていく。


その内すぐに足が自由になる。


【頭から一切の司令を受け付けられなくなるようにしてあった。結構厄介な魔法だよ】


俺はそんなこと耳にもいれず、足が動くようになった途端に俺は前に無我夢中で進んだ。


そしてレーネを抱きかかえる。


温かい。そして心臓の音がする。意識はないが脈拍からして恐らく気絶しているだけだろう。


血の巡りを感じたその瞬間、目から涙が溢れて止まらなかった。


感情がぐちゃぐちゃになり血が混じった涙は微かに鉄の匂いがした。頭をかき乱す何かに気づきながらも俺はそれを無視した。


俺はレーネの前足を握る。


「ごめんな、次は絶対この手を離さないから」


確かめるように頭と頬を撫で、それから前足にブレスレットを付けた。


その瞬間、化け物の悲鳴のような声が響き渡り中が大きく揺れる。


不安定な足場と相まって体勢を崩しそうになる。


ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!


何度もコダマする虎のような声は空気を震わせる。

【いいんだね?取り込んでも】

「ああ」

【じゃあ解体始めるよ】

「頼む」


すると急にステンノの考えていることが手にとるように分かるようになる。


【また感覚を共有したよ。だからこれ通りに動いて。私は私でやることがあるから】


まず始めに手で肉壁を殴る。


するとそこだけ綺麗に穴が開く。

それと同調するように化け物が叫ぶ。恐らく痛いのだろう。


俺はその穴から外に出た。


どうやらここは化け物の腹だったらしい。


まずは頭からか。


その前に俺は魔法で境界線が曖昧な壁側にレーネを寝かせた。


そして化け物と面と向かい、魔法を展開する。


化け物の首の付け根に空間を作り出し首と付け根を断裂させる。


レーネを失った化け物は最早抜け殻で魔力も大分減っていた。


そして化け物の首を落とし、それをステンノが吸収する。


その瞬間俺は地面に片膝をついた。


次に俺はその場でのたうち回り、頭を掻きむしった。






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