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雫から始まる物語  作者: あまやすずのり
62/70

第62話

「ハッ…ハッ…ハッ!」

 駆ける、何処へ。

 駆ける、何故。

 駆ける、どうしたら。

 繰り返し頭に巡る答えを見いだせないまま

 五月は園内をただひたすらに走っていた。

「なっ!んでっ!」

 いつから、分からない。

 どうして、分からない。

 今になって、分からない。

 分からない事が何度も何度も思考され、

 浮かぶ度に五月の胸を苦しめる。

「私っ!はっ!」

 全然分かっていなかった。

 二人の事、大切な人の事を。

 紗英の事、友達の事を。

 進の事、先輩の事を。

 だから忘れようと懸命に走った。

 走る事だけで頭がいっぱいになるように。

 だけど、

「……はぁ、はぁ、はぁ……」

 息も体力も切れた五月が立ち止まる。

 いつ以来かも思い出せないほどの全力だった。

 それだけあの場が五月にとって苦痛でしかなかく、

 起こった出来事を無に帰したかった。

 しかし、それはほんの一時訪れた安らぎでしかなかった。

「……ここは…?」

 荒く息を吐き続けながら、

 膝に手をやる姿勢から目線を上げる。

 気づけば見知らぬ場所にいた。

 入口でもらったパンフレットを開き

 現在の場所を確認し、納得する。

 お昼も近いためだろう、

 食事処が少ないこの地域では人気が少なかった。

「……はぁ」

 呼吸を整えながら一度心を落ち着かせ、

 ふと看板に見入る。

『森林の植物園』

 簡素な時で描かれた文字と

 目の前に広がる自然豊かな景色。

 それは今の自分にとっては騒がしい園内より

 ずっと落ち着ける場所ではないか。

「……行こう」

 先ほどから震えるスマホを取り出しながら歩き出す。

 画面に浮かぶ文字を見て

 無造作にスマホの電源を切った五月は

 未だ重みがある足取りで

 木々が立ち並ぶ道へと入って行く。

 心に落ちた闇を少しでも払うために。

 出来るか分からない望みを求めて、

 五月は光り差し込む標に足を滑らせていくのだった。

こんばんわ、作者です。


さて、この連載もいよいよ終わりが近づいております。

今のところ7月くらいには完結しそうですが、

まぁ私の事ですから、予定が予定通り終わる、か、分かりません(笑)

ですが、キッチリ最後まで書き上げていきますので

もう少しお付き合いして頂けると幸いです。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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