第56話
その後、紗英からは二つの約束が提案された。
それは進が五月にちゃんと告白する事、
そして結果を必ず紗英に報告する事。
一つ目の提案は別に問題はなかった。
なぜなら、近いうちに進自身気持ちを伝えたい、
その気持ちはあったから。
だが問題は二つ目だった。
実際紗英に報告する義理は無い。
しかし、紗英は待つと言ってくれた。
それは進が五月の事を諦めたら、
五月に想いが届かなかったら、
今度は紗英が進に気持ちを届けようとしたい、
そういう意味があると感じた。
だからその時は、
「分かった、約束するよ、紗英さん」
進は紗英の覚悟を受け止めるため
しっかりと頷きながら返事をした。
『だからそれをしっかりと果たさないと、な』
横に座る紗英さんを盗み見しながら
進は話を切り出すタイミングを測る。
紗英はいつもの無表情で前方を見ている。
行き交う人々へ視線を投げかけ、
進の様子には気づいていないようだった。
だが、それは紗英の一言で間違いだと知ることになる。
「進さん、何か話したいことあれば今のうちに、どうぞ」
目線を外さず前だけ見つめる姿勢で
進の先を読んだ言葉だった。
いつの間にか紗英の口元には微笑が浮かんでいる、
進の事なら何でも分かる、
そう言われている気がして、
流石の進も下を巻いた。
だが、それならこちらも好都合と判断し
進は大きく息を吐きながら言葉を選ぶ。
「紗英さんに、報告することがある」
一瞬、紗英の顔が歪んだ。
それは進の勘違いだったかもしれない。
だけど、少なくとも微笑みが消えた表情で
進へと向き直なった紗英、
眼差しに映る進の表情も強ばっていた。
それが一層進の緊張を高め、
言葉を失ってしまう。
だけどここでいつまでも固まっているわけにもいかない。
だから、進は勇気を持って一歩先へと踏み込んだ。
これから話す内容をしっかりと紗英に伝えるため、
小さく短い単語に全ての覚悟を込めて進は口を開いた
「五月さんに話をしたよ」
こんばんわ、作者です。
GWも終わりましたね。
皆さん平常運行にはもう戻りましたか?
作者は……疲れがなかなか取れていません(笑)
でもしっかりとこちらは投稿していきますよー頑張ります、うん(笑)
ここまでお読み頂きありがとうございます。




