日記8
裁判の顛末
「これ以上の上告は難しい。」
弁護士先生が言った。
「そんな…」
私は絶望していた。
「これ以上突っ込むと、君の両親が加害者を恐喝していた事が出てきて、こちらが不利になる。残念だが、示談にしよう。」
私の両親が加害者に対して、脅迫まがいの恐喝で、お金を受け取っていた事が分かり、これ以上の民事裁判の上告は、こちらが不利になるために、「50万円で手打ちにしよう」という話になった。
「せめて君の両親が、何もしていなかったら話は変わったかもしれない。残念だ。」
弁護士先生は本当に残念そうだった。
「報酬はこの場で受け取っておくよ。気を落とさないように。では。」
先生は5万円を受け取り、その場で領収書を切って、裁判所を去って行った。
「私の裁判、私の復讐、私の…」
色々な考えが頭を巡って、裁判所の廊下で、私は呆けていた。
私は怒り心頭で自宅に戻り、両親に「お前ら何て事をしてくれていたんだ!全て台無しになった!」と責め立てた。
「子供のケンカの始末をつけるのは、親として当然の事だ!何が悪い!」
父が悪びれもせずふんぞり返り、母は目を合わせなかった。
「私は大人だ!私のケンカを奪いやがって!」
ぶっ殺してやろうかと、私は殺気立った。
「お前は大人になったが、俺たちの子供だ。子供が親に楯突くな。黙れ!」
父に怒号を浴びせられた。
それでも私は食い下がった。
「相手から脅し取ったカネはどうした!」
私は怒りと悔しさが入り混じった声で言い返した。
「黙れと言っているだろう!そうだな、お前を育ててやったカネを貰っていない!これでいいだろう!話は終わりだ!部屋に戻れ!」
屁理屈だった。
理不尽だった。
部屋に戻り呆けていると日が暮れた。
夜空を見上げていると、このクソみたいな両親が、私の親なのだと思い返すと、本当に殺して、私も死のうかと思ったのを良く覚えている。
月明かりの夜に、ひぐらしが鳴いていたのを覚えている。
2017.7.29 土曜日 平成29年




