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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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手帳4-7

登校(とうこう)拒否(きょひ)

連日(れんじつ)のように続(つづ)く学校(がっこう)での嫌(いや)がらせ、暴力(ぼうりょく)が続(つづ)き、私(わたし)は立(た)ち上(あ)がる事(こと)も出来(でき)なくなり、登校(とうこう)拒否(きょひ)をするようになった。


抜(ぬ)け殻(がら)のように布団(ふとん)で眠(ねむ)って、朝(あさ)起(お)きて反吐(へど)を吐(は)き、また眠(ねむ)るようになっていた。

そんな日(ひび)々を1ヶ月(かげつ)ぐらい過(す)ごした記憶(きおく)がある。

その間(あいだ)、教員(きょういん)が何度(なんど)か来(き)た。

親(おや)が「何(なん)とかします」という話(はなし)をして、教員(きょういん)を追(お)い返(かえ)していた。


「いいから学校(がっこう)へ行(い)け。」

「そんな程度(ていど)では社会(しゃかい)で生(い)きて行(ゆ)けない。」

「そんなに嫌(いや)なら死(し)んでしまえ。」


こんな言葉(ことば)を両親(りょうしん)から吐(は)き掛(か)けられて、私(わたし)は本当(ほんとうに)に参(まい)っていた。


ある日(ひ)、朝(あさ)起(お)きると私(わたし)の頭(あたま)が丸(まる)刈(が)りになっていた。

布団(ふとん)には私(わたし)の髪(かみ)の毛(け)がごっそりと散乱(さんらん)していた。

何事(なにごと)が起(お)こったのかと慌(あわ)てる私(わたし)に父(ちち)が言(い)い放(はな)った。


「女(おんな)みたいな頭(あたま)しやがって!気分(きぶん)悪(わる)いから刈(か)ってやったぞ。お前(まえ)は学校(がっこう)へ行(い)け。行(い)かないなら下(した)の毛(け)も刈(か)ってやるぞ。」

リビングにはニヤニヤと、バリカンを手(て)にした父(ちち)が居(い)た。


私(わたし)は父(ちち)には逆(さか)らえなかった。

「まだ」逆(さか)らえなかった。


いつかコイツを殺(ころ)してやる。

そう思(おも)いながら帽子(ぼうし)を被(かぶ)り、学校(がっこう)へ行(い)くと、数人(すうにん)のクラスメイトが私(わたし)の頭(あたま)を見(み)て大笑(おおわら)いしていた。


「何(なに)それウケる。今更(いまさら)野球部(やきゅうぶ)にでも入(はい)るの?てか久(ひさ)しぶり。学校(がっこう)来(き)たんだね。」

女子(じょし)生徒(せいと)の1人(ひとり)が声(こえ)を掛(か)けて来(き)た。


「悪(わる)いかよ。」

ぼそりと私(わたし)は言(い)うと、自分(じぶん)の席(せき)に着(つ)いて、登校(とうこう)拒否(きょひ)前(まえ)の、以前(いぜん)と変(か)わらない態度(たいど)で授業(じゅぎょう)を受(う)けた。


私(わたし)の机(つくえ)には落書(らくが)きが大量(たいりょう)にあった。

机(つくえ)の中(なか)にはゴミが大量(たいりょう)に突(つ)っ込(こ)んであった。


私(わたし)は消(け)しゴムで落書(らくが)きを消(け)し、机(つくえ)の中(なか)のゴミを集(あつ)めてゴミ箱(ばこ)に全(すべ)て捨(す)てた。


父(ちち)は将来(しょうらい)絶対(ぜったい)殺(ころ)す。

このチンパンジーの檻(おり)の中(なか)で、私(わたし)はあと二年(にねん)過(す)ごしてサヨナラだ。


そんな事(こと)を思(おも)いながら授業(じゅぎょう)を受(う)けていた。


この記憶(きおく)は私(わたし)の中(なか)では私(わたし)を責(せ)めない。

ただ「ゴミのような人間(にんげん)を集(あつ)めた、学校(がっこう)というゴミ集積(しゅうせき)所(じょ)に通(かよ)っていた辛(つら)さ」が私(わたし)を蝕(むしば)んでいる記憶(きおく)だ。

2017.7.28 金曜日 平成29年

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