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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
37/78

手帳3-4

悪(あく)への制裁(せいさい) 2/2

「ええっ!本当(ほんとう)ですか?はい、…はい。わかりました。」

帰宅(きたく)すると母(はは)が電話(でんわ)の対応(たいおう)をしていた。

多分(たぶん)相手(あいて)は担任(たんにん)教員(きょういん)だろうと察(さっ)した。


自分(じぶん)で報告(ほうこく)しろと言(い)いつつ、担任(たんにん)教員(きょういん)が直接(ちょくせつ)電話(でんわ)で親(おや)に報告(ほうこく)しているのならば、私(わたし)を殴(なぐ)ったのも、呼(よび)び出(だ)したのも、ただの自己(じこ)満足(まんぞく)でしかなかったのかと考(かんが)えたら、担任(たんにん)教員(きょういん)に怒(いか)りと不信感(ふしんかん)が沸(わ)いた。



「何(なん)てことをしてくれたの!」

電話(でんわ)を置(お)いた直後(ちょくご)、母(はは)がヒステリックに私(わたし)の胸(むね)を掴(つか)んで叫(さけ)んだ。


私(わたし)は理由(りゆう)を説明(せつめい)しようとしたが聞(き)いてくれなかった



「またお金(かね)がかかる」

母(はは)は髪(かみ)の毛(け)を振(ふ)り乱(みだ)しながら爪(つめ)を噛(か)み、リビングをうろうろと歩(ある)き回(まわ)っていた。


「二度(にど)とするんじゃないわよ!いいわね!」

母(はは)がそう叫(さけ)ぶと、私(わたし)の主張(しゅちょう)を全(まった)く聞(き)いてくれない母(はは)に対(たい)して、以前(いぜん)感(かん)じた感情(かんじょう)が沸(わ)いていた。


ヒステリックに母(はは)が、父(ちち)に今日(きょう)私(わたし)が起(お)こした事案(じあん)に対(たい)して報告(ほうこく)していた。

父(ちち)は今日(きょう)の件(けん)について何(なに)も言(い)わずに、「うるせえ」とだけ言(い)って、父(ちち)は背中(せなか)をこちらへ向(む)けて横(よこ)になった。



後日(ごじつ)


「今回(こんかい)は申(もう)し訳(わけ)ございませんでした。」

母(はは)と共(とも)に泥棒(どろぼう)生徒(せいと)の親(おや)に謝(あやま)るために、彼(かれ)の家(いえ)のリビングで正座(せいざ)していた。


「あなたも謝(あやま)りなさい」

母(はは)の隣(となり)で正座(せいざ)している私(わたし)に、母(はは)は肘(ひじ)を入(い)れてきた。


「私(わたし)は悪(わる)くない。」

発言(はつげん)した直後(ちょくご)に思(おも)いっきり母(はは)に殴(なぐ)られた。

それを見(み)ていた泥棒(どろぼう)生徒(せいと)の母親(ははおや)が、口(くち)を割(わ)って話(はな)し始(はじ)めた。


「子供(こども)のやることですから。それに私(わたし)の子(こ)も話(はなし)を聞(き)くと、息子(むすこ)の悪(わる)いところがありましたから。」

泥棒(どろぼう)生徒(せいと)の母親(ははおや)は申(もう)し訳(わけ)ないような声(こえ)で、私(わたし)たち親子(おやこ)に言葉(ことば)を掛(か)けた。


「治療代(ちりょうだい)の足(た)しにしてください。」

母(はは)が茶(ちゃ)封筒(ぶうとう)を泥棒(どろぼう)生徒(せいと)の母親(ははおや)に差(さ)し出(だ)した。


「ありがとうございます。」

泥棒(どろぼう)生徒(せいと)の母親(ははおや)は笑顔(えがお)で封筒(ふうとう)を受(う)け取(と)っていた。

それがどうにも引(ひ)っかかっていた。



帰(かえ)り道(みち)。


「二度(にど)と人(ひと)を傷(きず)つけるんじゃないよ!誓(ちか)いなさい。」

高圧的(こうあつてき)な態度(たいど)で母(はは)が私(わたし)に言(い)った。


「どうして。悪(わる)いのはあっちなのに!」

私(わたし)は正(ただ)しい事(こと)をしたのに、先(さき)に手(て)を出(だ)してきたのは泥棒(どろぼう)なのに、そんな感情(かんじょう)で私(わたし)は母(はは)に尋(たず)ねた。


「お金(かね)がかかるからよ!」

茶封筒(ちゃぶうとう)にはお金(かね)が入(はい)っていたのだろう。

母(はは)はお金(おかね)を失(うしな)った事(こと)に対(たい)して苛立(いらだ)っていたのだ。


そんな母(はは)を、私(わたし)は、「母(はは)を汚物(おぶつ)のように感(かん)じ始(はじ)めた」のは、この頃(ころ)からだった。


両親(りょうしん)を汚物(おぶつ)のように感(かん)じて、その感情(かんじょう)は黒(くろ)く、怒(いか)りを呼(よ)び、私(わたし)はその怒(いか)りの感情(かんじょう)を抑(おさ)えると胸(むね)が苦(くる)しくなったのを覚(おぼ)えている。


その怒(いかり)りは弟(おとうと)にぶつけられ、私(わたし)は父(ちち)のように振舞(ふるま)うようになった。


これは「私(わたし)の正義(せいぎ)」と「世間(せけん)様(さま)の正義(せいぎ)」が著(いちじる)しく乖離(かいり)していたこと。

これが私(わたし)を責(せ)めるている記憶(きおく)の1つなのだ。

2017.7.27 木曜日 平成29年

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