手帳3-2
恋をした。
私の家の近所、私のクラスに女の子が転校してきた。
彼女は輝いて見えた。
金髪に近い栗色の髪の毛。
淡い色の瞳。
透き通るような白い肌。
鈴の音のような声。
私は彼女を見る度に胸が痛かった。
それが一体何なのか分からなかった。
他の女子を見ても胸は痛くならなかった。
多分私は初めて恋をしたのだと思う。
彼女と話をしてみたかった。
だが何を話せば良いのか分からなかった。
ただ私は彼女を見ているだけで、幸せな気持ちになった。
今考えると確実に恋だったと思う。
しかし今の私は「見た目だけで人間を判断すると大火傷をする」という事を知っている。
その時に告白とか、話をするとか、そういう事をしなくて良かったと、心から思う。
しかし恋をしたことで私は「清潔感のある人に見られたい」という欲求が出て、毎日髪型を整え、最低でも清潔な服を着るように努力した。
このキッカケが無ければ、私は未だ身だしなみが出来ない、不潔な人間だったのだろうと思う。
額から右目に伸びる傷を隠すために前髪を伸ばした。
親が「長すぎるから切ってこい」と渡されたお金で、理髪店に行き、親の「短く切って来い」と言われたのを無視した。
店主に前髪の長さを指定すると「こっちの方がカッコイイから」と指定した以上に短くカットする店主にブチギレて、怒鳴り散らすような、私は嫌な子供だった。
「お金があれば何を言っても許される」と思っていたクソガキだった。
だが「現代でもお金を出せば何を言っても、何をやっても許されると考える奴は、雑草のようにいるから、それは普通ではないか」、などと甘えて腐った考えをしている、そんな私を今は許せない。
私は我侭で傲慢な人格を形成して行った。
人間は見た目よりも中身が、ずっと大事だという事は、今の私は良く分かっている。
自分の中身を磨かなかった。
自分の中身を磨く努力をしなかった。
自分の中身を磨く必要性を認識できなかった愚かな私。
これが私を責めている記憶の1つだ。
2017.7.27 木曜日 平成29年




