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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
33/78

僕の父さんは、父さんで良かったよ。

親子(おやこ)の会話(かいわ)

父(ちち)の料理(りょうり)が並(なら)べられて、美味(おい)しそうなから揚(あ)げや、天(てん)ぷら、おひたし、お寿司(すし)までテーブルに並(なら)べられていた。


だけど手帳(てちょう)の2冊目(さつめ)を読(よ)み終(お)わって、僕(ぼく)は食欲(しょくよく)がどこかへ行(い)ってしまっていた。


「父(とう)さん。父(とう)さんはこの本(ほん)は全部(ぜんぶ)読(よ)んだの?」

色(いろ)んな感情(かんじょう)がごちゃ混(ま)ぜで、何(なん)と言(い)ったらいいのか分(わ)からない。


「おう。さらっとだけど全部(ぜんぶ)読(よ)んだぞ。」

親父(おやじ)はそう言(い)いながらキッチンで料理(りょうり)器具(きぐ)の片付(かたづ)けをしていた。


「昭和(しょうわ)時代(じだい)の学校(がっこう)なんてそんなものだろう。父(とう)さんも鉄拳(てっけん)制裁(せいさい)なんて当(あ)たり前(まえ)だったからなあ。」

そうなんだろうか。

そうなんだろう。

だけど手帳(てちょう)に出(で)てきた担任(たんにん)は、教育(きょういく)者(しゃ)として逸脱(いつだつ)している部分(ぶぶん)も見(み)えた。


「また自分(じぶん)に重(かさ)ねているのか。距離(きょり)を置(お)けって言(い)っただろう。」

親父(おやじ)が手(て)をタオルで拭(ふ)きながら近寄(ちかよ)ってきた。


「母(かあ)さんまだ帰(かえ)って来(こ)ないみたいだから、先(さき)に頂(いただ)こうか。食(く)え。飲(の)め。」

親父(おやじ)がビール瓶(びん)の栓(せん)を抜(ぬ)いた。


「ああ、父(とう)さん、注(つ)ぐよ。」

僕(ぼく)は親父(おやじ)のコップにビールを注(そそ)いであげた。


「かぁーっ、息子(むすこ)にビールを注(つ)いで貰(もら)うなんて、父(とう)さん幸(しあわ)せだなあ。」

親父(おやじ)は大(おお)げさに喜(よろこ)んでいた。


「お前(まえ)も飲(の)め。ほら、返杯(へんぱい)って奴(やつ)だ。」

親父(おやじ)にビールを注(そそ)いでもらって、注(そそ)がれたビールを眺(なが)めながら、ゴチャゴチャした気持(きも)ちでいても仕方(しかた)ないと思(おも)い、コップのビールを半分(はんぶん)飲(の)んだ。


「父(とう)さん、手帳(てちょう)にゴム鞠(まり)とか人影(ひとかげ)とか書(か)いてあったんだけど、見(み)た?」

手帳(てちょう)を見(み)る限(かぎ)り、変(へん)なものを見(み)る才能(さいのう)というか、妄想(もうそう)が兄(にい)さんにはあったようだ。


「ああ、叩(たた)かれ過(す)ぎてどうにかなっちまったのかもしれないなあ。お!お前(まえ)の後(うし)ろに人影(ひとかげ)が…ははは。冗談(じょうだん)だ。」

親父(おやじ)は笑(わら)った後(あと)にビールを飲(の)み干(ほ)した。

僕(ぼく)も親父(おやじ)に釣(つ)られて笑(わら)った。


「僕(ぼく)の父(とう)さんは、父(とう)さんで良(よ)かったと思(おも)うよ。」

正直(しょうじき)に僕(ぼく)は親父(おやじ)に気持(きも)ちを伝(つた)えた。


「おう!お前(まえ)のためなら父(とう)さん、がんばるからな!」

親父(おやじ)がニコニコしている。


「飲(の)みすぎで身体(からだ)壊(こわ)さないでよ?健康(けんこう)診断(しんだん)で引(ひ)っかかったって聞(き)いたよ。」

「言(い)うようになったなあ。耳(みみ)が痛(いた)い。ははは。」



手帳(てちょう)は食事(しょくじ)の後(あと)でまた続(つづ)きを読(よ)もう。

2017.7.24 月曜日 平成29年

次回、中学編 手帳3

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