僕の父さんは、父さんで良かったよ。
親子の会話
父の料理が並べられて、美味しそうなから揚げや、天ぷら、おひたし、お寿司までテーブルに並べられていた。
だけど手帳の2冊目を読み終わって、僕は食欲がどこかへ行ってしまっていた。
「父さん。父さんはこの本は全部読んだの?」
色んな感情がごちゃ混ぜで、何と言ったらいいのか分からない。
「おう。さらっとだけど全部読んだぞ。」
親父はそう言いながらキッチンで料理器具の片付けをしていた。
「昭和時代の学校なんてそんなものだろう。父さんも鉄拳制裁なんて当たり前だったからなあ。」
そうなんだろうか。
そうなんだろう。
だけど手帳に出てきた担任は、教育者として逸脱している部分も見えた。
「また自分に重ねているのか。距離を置けって言っただろう。」
親父が手をタオルで拭きながら近寄ってきた。
「母さんまだ帰って来ないみたいだから、先に頂こうか。食え。飲め。」
親父がビール瓶の栓を抜いた。
「ああ、父さん、注ぐよ。」
僕は親父のコップにビールを注いであげた。
「かぁーっ、息子にビールを注いで貰うなんて、父さん幸せだなあ。」
親父は大げさに喜んでいた。
「お前も飲め。ほら、返杯って奴だ。」
親父にビールを注いでもらって、注がれたビールを眺めながら、ゴチャゴチャした気持ちでいても仕方ないと思い、コップのビールを半分飲んだ。
「父さん、手帳にゴム鞠とか人影とか書いてあったんだけど、見た?」
手帳を見る限り、変なものを見る才能というか、妄想が兄さんにはあったようだ。
「ああ、叩かれ過ぎてどうにかなっちまったのかもしれないなあ。お!お前の後ろに人影が…ははは。冗談だ。」
親父は笑った後にビールを飲み干した。
僕も親父に釣られて笑った。
「僕の父さんは、父さんで良かったと思うよ。」
正直に僕は親父に気持ちを伝えた。
「おう!お前のためなら父さん、がんばるからな!」
親父がニコニコしている。
「飲みすぎで身体壊さないでよ?健康診断で引っかかったって聞いたよ。」
「言うようになったなあ。耳が痛い。ははは。」
手帳は食事の後でまた続きを読もう。
2017.7.24 月曜日 平成29年
次回、中学編 手帳3




