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1憎き男
「人の顔真似すんじゃねえよクソジジイ! お前のような男に、顔の遺伝子を移される筋合いはない!」
ガッシャーン
怒鳴り散らした勢いで、トロフィーを姿見に叩きつけた。大きく亀裂が入った鏡は砕け散り、床に銀の破片がパラパラとこぼれ落ちた。あとには乱れた呼吸だけが虚しく木霊す。
これで何回目だろう。鏡を壊したのは。
睨むと瞳に瞼の皮膚が食い込み、鼻はヒクヒクと蠢き、唇は嫌らしく垂れ下がる。まるで生き写しだ、あいつに--。鏡をのぞくたび、そこはかとない憎しみが込み上げてくるのだ。違う! わたしは、あの野郎の子供なんかじゃない。あんな男にわたしの顔は真似させない。親子じゃあるまいし! 万が一、似ていたとしても、それは他人の空似だ。似る理由がないのだ! 塵一つもね。




