求ム!清貧妃
火麟国
帝政によって都に君臨する帝を中心に、数多の官吏が政をしていた。
その帝が住まう宮廷に、今日も悩める青年が一人。
「うぅ〜ん...なんだこの金額は...」
木簡の束を何度も確認しては、算盤をはじく。
「金が...ない」
絶望しているこの青年の名は、劉清嵐。この国の帝子であり、執務室で頭を抱えていた。
今の帝である父は、幼い頃に帝位についたため、実際に実権を握っていたのは宰相の王明であった。王明の娘が現在の皇后になったが、二人の間に子はおらず、清嵐を含めた皇子はすべて側室との間にできた子だった。
王明のごり押しで後宮へと入れられた皇后は、自分に世継ぎが成せないストレスから華美な宝飾品、上等な衣、自らの美容に大金を注ぎ込み、国の財政を長年圧迫していた。帝も政略結婚した皇后に興味はなく、その勝手を許していたのだ。それに加えて最近は国境沿いで異民族の動きが活発になり、何度も国軍を遠征に出したことで国は困窮していた。
「今月も...皇后の出費が度を超えている!」
清嵐は机の木簡が床に落ちるほど強く机を叩く。
「清嵐様...お鎮まりください」
清嵐の従者である廉が冷静に言う。彼は清嵐の乳兄弟であり、今では清嵐の腹心として働いていた。
「清嵐様に妃を迎えるよう帝から勅命がでていましたが、ここにその妃候補のリストをお持ちしました」
名だたる名家のご令嬢ばかりが並んでいるリストを見て、清嵐はげんなりした。
「今は俺の妃を選んでいる余裕なんてないほどこの国は逼迫しているんだぞ!こうしている間にも、どれほどの民が苦しんでいるか...」
「そうですね...しかし、このまま貴方様が妃を迎えなければ、帝位の継承順位も下がり、その地位は危うくなります」
「...わかっている」
清嵐は廉が持ってきたリストを渋々見た。
「皮肉だな。父のようになりたくないのに、ここに載っている女を妃として迎えたらきっと同じ轍を踏む。どうしたものか...」
リストを放って目を瞑った清嵐が、突然何かを閃いて立ち上がった。
「そうだ!私が自ら選別して妃を選ぼう!」
「...それは、どういった...」
廉が驚きのあまり固まった。
「妃という立場に溺れず、貧しくとも一緒にこの国難を乗り越えてくれる女を探すんだ。そのためには身分に関係なく、広く募集をかけなければ」
ノリノリで自らの妃選別会を計画する清嵐を見ながら、廉は無茶苦茶だが「彼らしい」と苦笑いした。




