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第11.5話 あとさき

#第11.5話 あとさき


――任務は、無事に終わった。


ルクシオンのビルに戻ってきたのは、日付が変わる少し前。

他のメンバーはとっくに引き上げていて、ロビーの灯りも落とされていた。


薄暗い廊下を並んで歩く二人の間には、奇妙な沈黙が流れていた。

気まずいわけじゃない。

ただ、まだ――“余韻”が抜けきっていなかった。


ナオはワイシャツの第一ボタンを外しながら、ちらとルカを見やる。


「……ずっと、ふざけすぎだ。」


ぽつりと落ちたその言葉に、ルカは肩をすくめた。


「演技にしちゃ、やたら反応よかったくせに?」

「“依頼”だからな。」


即答。

けれどその語尾は、どこか、わずかに滲んでいた。


ガチャリ、と事務所に入る。

2人とも同時に、ソファに沈んだ。


「……あー…疲れた。さっきまでの喧騒が嘘みてぇだ。」


ぼそりと呟いたルカの声に、ナオは肩を小さくすくめた。


「お前が一番、騒がしかっただろ。」

「手厳しいことで。…まぁあれくらいやれば、十分だろ。」


そう言って、ルカはネクタイをゆるめながら、斜めにナオを見やる。

ナオは何も言わず、グラスの水を一口、含んだ。


「……楽しかったけどな。」


ぽつりと落としたルカの言葉に、ナオがゆっくりと目線を返す。


「こんな任務、ありかよ…。」

「ん?」

「――ま、悪くなかった。」


それきり、二人とも黙った。

けれど、沈黙はどこか心地よく、言葉がなくても通じ合うような、妙な空気が流れていた。


数秒後、ルカが不意に立ち上がる。


「……腹、減ったな。ラーメン、奢ってやるよ。」


ナオは少しだけ驚いたように眉を上げたが、すぐに「……ああ」とだけ返す。


それだけで、二人はソファを後にした。


「俺、味噌の気分。」

「塩。」

「残念、味噌ラーメンの店しか思いつかなかった。……今日は譲れ。」


幕は下りたはずなのに、名残が足を止めさせるような、

そんな夜だった。

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