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ヒロインの母➌

もうここで終わっても良いぐらい、良い話に仕上がったから終わってもいい?これ以上やると駄作待ったなしよ?


短編として上げて来る。

その言葉を聞いた時、私は現実かどうか疑ってしまった。


もちろん、それは否定したいからではなくあまりの嬉しさに夢を見てるのでは無いかと疑ってしまったから。


医師はそんな私の想いを汲み取ってくださり、ニコリと融和な笑みを浮かべて「嘘ではありません。ふふ、夢でもありませんからね」とおっしゃられたの。


その後の事は赤ちゃんの事だけで頭が埋め尽くされてしまいよく覚えていないけれど、アンバー様がとても嬉しそうにされていたのは覚えているわ。


次の日から過保護になったアンバー様から安静にして過ごすようにとのお言葉をいただき、侯爵夫人としての役目は少なくしてくださったの。


初めての妊娠で、無事に赤ちゃんを産むためにも安静にしていたかった私にとってその提案はとても嬉しく、その間はお腹の中にいる赤ちゃんに声を掛けたり、歌を聞かせたり、先達の方からアドバイスをいただき色々と試したもの。


妊娠してから味覚の変化やつわりと言った体の変化に苦労する日々を過ごす事になったけど、ゆっくりと大きくなるお腹と愛する夫が傍に居てくれたお陰で乗り越える事ができました。


そんな日々も終わりを告げる日が訪れ、遂に出産を迎えた。


出産は痛みを伴うものだと予め聞いて覚悟が決まっていると思ったけど、その痛みは想像を絶する痛みで何度気絶しそうになったか分からない。


それでも気絶せずに頑張れたのは産まれて来る我が子に早く会いたいという想いがあったから。とても長いようで短い出産は生まれ落ちた我が子の産声で終わりを告げた。


乳母からタオルに包まった我が子を見た時は荒い息を吐く体とは裏腹にホッと安堵した。


出産を迎える前までは無事に産む事が出来るだろうかと、不安に陥る日が多かった。その不安が、結果が目の前にいる我が子というこれ以上ない事実を持って示されたのだ。


その時の私の嬉しさは言葉で語る事は出来ないぐらい、嬉しかったの。


乳母から「抱いてみませんか」との言葉に私は頷くと、震える腕で我が子を抱き締めた。


腕の中に収まった我が子は皺くちゃな顔で髪の毛が一つも無い姿に昔、妹が産まれた時の姿を思い出した。


あの時、幼かった私は変な顔って思ってたけど、自分が産む立場になると我が子が可愛くて可愛くて仕方がない。


我が子に見惚れている私に乳母が「旦那様をお呼びしましょうか」と言われてそこでやっと夫の事を思い出した私はすぐに呼んでくるようにお願いした。


部屋へと入った夫は、我が子を見てその場に立ち尽くしたの。その呆けた顔が可笑しくって私が笑みを漏らすと、正気に戻った夫が緊張した足取りで私達の方に来た。


私が「抱いてみない」て言うと夫は「ああ」と緊張を孕んだ声で返事を返し、恐る恐る私の腕から赤ちゃんを引き離し抱き抱えた。


腕の中に収まる我が子を見て夫は柔らかな笑みを浮かべると、額にキスを一つ落とした。


その姿がとても幸せそうで、素敵で、今すぐ絵に残したいと思ったほど。


これからは私達夫婦の中に新しく子供が増え、幸せな日々に彩りが増えた。

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