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あの日見た光景➍
戻れる範囲での散策を終えた俺は地面の上に寝転がる。
木々に囲われた先に見える空を見上げていると絶望感が癒やされる感じがする。
(ロマンチストでもスピリチュアルなタイプでも無いだけどな)
日本に居た時の俺ならこんな事は思わなかっただろうな、と思う。
「はぁ……まさか、何も無いなんてなぁ……」
水も、食料も、動物さえ存在しなかった。
あるのは木と雑草と花のみ。これでどうやって生きていけば良いんだろう。
「だけど……魔物がいなさそうなのが救いかぁ……」
ほんと、魔物がいたら俺の命なんてアリ同然。いなくて良かった。
「…………もしかしたらここは地球なんじゃ?」
俺が単に異世界だと思ってるだけで異世界だという証拠は全く無い。
魔法陣の謎は残るけど、それは俺の夢落ちとか実験が行われていたとか可能性は幾らだって思い付く。
「ははっ」
帰れないと思ってたけど地球に居るなら帰る方法は思い付く。言語の壁はあるが、それだってそこで生活してる内に身に付く筈だ。
「よっしゃ!さっそく人里探しと行こう!」