平和的時間稼ぎ
渦に飛び込んで次に見えた景色は中世ヨーロッパ風の建物と木造平屋の日本家屋が建ち並ぶカオスな街並みだった。
「アンタ、こっちだよ。あのドラ娘のギルドは中心街の方だって言ってるだろ?」
耳の長い婆さんが耳の長い爺さんに話しかけている。
おそらくあの2人が足止めの対象のエルフだろう。
「すみません、ちょっとお時間大丈夫でしょうか?」
あくまで依頼は足止めだ。平和的に解決する方針にしたい。
「何だい?若造。野良試合を希望かい?」
いいえ、違います。
「すまんの人族の若い人。家内は口が悪くてのう。」
完全に脳筋の婆様と苦労人の爺様だな。
「誰が脳味噌まで筋肉だって?」
「これ、初対面の方の心を読むのは失礼じゃろ?それとこの位は苦労のうちに入らんよ。」
この爺さんも心を読んでるな。
「さっさときなゴリラァァァ!」
「誰がゴリラですか・・・いい加減名前を覚えてください。」
老婆が叫んだかと思うと角の生えた男が走ってやってきた。この男が話に出ていた付き人か。
アホ女神の事前情報通りだとこの男はエルフの老婆の付き人物は(角が生えているが)人族で身体強化による格闘術と鑑定を行う眼を保有しているとの事。
「コサック、あんたの眼であの男をみてみな。」
おい、さっきと名前が変わってるぞ?
「妙ですね。完全に能力が見えないです。あの娘の場合は文字がぐちゃぐちゃになってましたが、あの男は完全に見えません。」
この男もいつもの事なのか名前の事はスルーしている。
「あんた何者だい?冒険者なわけないね?この国と周辺にいる冒険者は記憶してるからね。」
すごい婆さんだな。冒険者ね。
この流れならもう1つの依頼も平和的に終わりそうだ。
「まぁ、似たようなものです。実はある方からマナミという方に渡す様頼まれた物がありまして・・・」
そう言ってスキルを使い異空間から白い粉3種類と丸太を取り出した。
「ほぉ、中々いい木じゃないかい。」
「ギルマス、白い粉の正体は高級品の食材と出ましたが、丸太の方は何も出てません。」
収納に突っ込まない辺り、この世界では収納持ちは多いいのだろう。
丸太の鑑定結果かでないのはどうしてだろうか?あの付き人の眼は結構良い制度だと依頼主が言っていたんだが・・・。俺はパットを取り出し丸太を写真で撮り、それを写真に写っている物が何かわかるアプリで鑑定した。
鑑定結果
異界樹の丸太
異界固有種の木。その世界の特定の国では結構自生している。その国では花粉症の原因でも有名。
花粉症ってあの木だよな・・・。
「恐らくですけど私の世界に良くある普通の木です。呪いとかかかってないです。」
女神からの贈り物だからな。ただし、祝福されてもいないがな。
「アンタ、依頼主がいるフリをしてウチの可愛い孫娘に珍しいものを贈って言いよる気だね?よし、ココで倒しておこう。」
老婆が何かを勘違いして、杖を取り出した。
もう帰りたいんですが・・・依頼主、まだですかね。
女神「まだです。」




