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レガさん、いや、今後スラ子やフーシェの教育上
こんな下着泥に敬称をつけるのは良くないな。
レガ君からの悪魔の様な誘いは、
私の心が緊急回避を行ったことでうやむやになった。
そう、うやむやになっただけで結局
お嬢と合流した場合どうなるのかという
重大な点が後回しになったわけである。
まぁ、出てくる情報や置かれている状況が変われば
何か良い打開策が出るだろうということもあるし。
何よりあれ以上何を仕込んでいるかわからない
レガさんの手中で動く必要もない。
いわばこれは撤退だ。
決して現実から逃避しているわけではないことを
ご理解いただきたい。
自分自身への説得が済んだところでたいまつや
淡く発光する魔石に彩られた王都の城門へたどり着く。
夕日に照らされた全体像からは洗礼された城と城壁が
見て取ることが出来たが、
近づいてみると城壁の周辺にはいくつもの巨大な石像が
鎮座されており、まるで巨大な博物館のようだ。
そんな城壁に見合う城門の前では日が暮れたというのに
人の入場がまだ続いている。
やはりこれだけ大きな町になると、物資の運搬や検査に
それだけ時間がかかるということなのだろう。
パッと見た状況だけでも
今すぐ別の案に乗り換えたくなる衝動に駆られる。
本当にレガ君を信じていいのだろうか?
そもそも嘘をつくことが出来ないのに
どうやって検問を通り抜けるつもりなのか?
緊張で胃がキリキリとなり始めるなか、
私たちの番がやってくる。
「次!身分証を」
そういって門番に言われて前に出るレガ君。
身分証何て持ってるのか?
そんな疑問をあざ笑うようにどこからともなく
冒険者カードを取り出す。
「C級冒険者でイレノア・・・ねぇ?」
「・・・」
「すまないが兜を外してもらえるか?
手配書に顔があるか見ないといけないんでね」
そういって門番が守衛所を指すと
いくつか特徴的な顔立ちの手配書が張られている。
そんな手配書を一瞥してから門番に向き直った
レガ君が一言。
「・・・外れない」
「は?」
「・・・古い魔法で外れない」
「そんな理屈が通るわけ・・・」
門番が何やら合図を送ると周囲にいた兵士たちが
ゆっくりとレガ君の周囲を固めてゆく。
だが、そんな状況においても一切動じないレガ君。
「・・・試してみるといい」
そういって頭を差し出すレガさん。
その態度に不信がっていた門番が兜を外そうとするが
びくともしない。
そんな様子を見ていた周囲も参加したり、
その騒ぎ見ていた検閲の魔法使いや
通りすがりの商人まで参加したが
結局のところ、外す事が出来ない不思議な兜
という判定が下ることとなる。
「まいったな。これじゃあ・・・」
集まってしまった人だかりを散らし、
門番に守衛所の奥まで連れてこられたレガ君。
頭をかきながら困惑する門番に、
そっとレガ君が近寄ると門番の手に何かを握らせる。
「・・・ここはひとつ」
「こんなことをされては困る・・・ん?!」
レガ君に握られた手の中身をちらりと確認する
門番の表情からあからさまな動揺が見て取れる。
「・・・ご迷惑をおかけしたということで」
そういってまた何かを握らせるレガ君。
「ま、まぁ、今回は特別だぞ。
それに何か事件が起きた場合は
真っ先に貴様が容疑者になる。わかってるな?
さっさと用事を済ませて出ていくように」
そう、ほころんだ顔で注意を促す門番。
それに対して。
「・・・へへ、どうも」
子悪党の様なセリフと軽く会釈をして守衛所から
王都の中へと入ってゆくレガ君。
「・・・どう?入れたでしょ?」
若干ドヤ感を醸し出す問いかけに、
こいつの評価と精霊に対するイメージを
下方修正する私であった。




