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 ステージが終わったあと、シールド類の後片付けもそこそこに、俺は『彼女』が消えたドア付近を彷徨いていた。

しかし、肝心の『彼女』はもうそこには居なくて、すでに他所の階に移ったようだった。


あの子……確かギターケース背負ってたよな……。

ということは『レンタル・ブース』の方かな……?


呆然としている俺を見てメンバーが不思議に思ったようだった。


「田畑?……どしたよ?」

「……や、客の中にさ……ちょっと……な」

「なーんだ、可愛い娘でも、居たのかよ?」

「……」

「えーっ!……マジ?ビンゴ!かよ」

「ちっ……違うって」


訳の分からない?歓声が上がり……『親しくもない』メンバーに、思いっきり冷やかされた。

『一目惚れ』……ってやつ?

いいや……『なんか違う』気がする。

そんなんじゃあ、ないんだよなー。

だって俺は……。

……。


おまけに……あの子が見てたのって……俺の『顔』じゃなくって確かに『手元』だった。

俺の『手の動き』を真剣に見ていた。

『あの目』って……あれは一体……?


更に、『微妙な笑』を浮かべていた。

それが……何に対しての笑なのかは、分からないんだけれども。

それがやけに、記憶に残っていたりして。


挑発しているように、思えたんだ……。

まるで『全てを見透かしている』かのように。


『……それで満足なの?』って。


なんでだろう?

俺は、それで良かったんだ。

そう思っていたのに……。

あの笑……俺は『それら』を全部否定されているように、捉えてしまったんだ。


あれから……俺は階下にある『レンタル・ブース』を覗きにいった。

防音完備の分厚い扉に仕切られた練習場が、ワンフロアにかたまっているところだ。。


勿論『音楽センター』なので、機材の種類は豊富にある。

鍵盤とドラムが設置されたブースもあり、個人からバンドまで幅広い層が利用している。

個人レッスン場も、此処は兼ねているところだった。


やっぱり『あの子』は見当たらなかった。

……ふん。

そんな上手くいくはず……ねえよな。


でも、楽器を持っていたんだ。

そのうちまた現れるに違いない。


根拠はないが、何故かそう思えた。

でも……俺……あの子に会って、何をしたいんだろう?

何が言いたい?


そういう疑問がふと頭をよぎった。

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