1月24日 あの日のこと
昨日の矢田の話を聞いて、私は、どうするか迷っていた。このまま、あの日のことをうやむやむにしても。ただ、一歩踏み出すのはとまどっていた。今日は、放課後に明日花とカフェで話をしていた。
明日花「行くの?」
矢田から提案された話をしていた。
私 「うーん。どうしよかな」
明日花「私だったら、怖いけどね」
私 「怖いの?」
明日花「だって、BIG3なんでしょ?」
明日花は、矢田や篠木のことをあまり知らない。
私 「うん」
明日花「真波がいるとはいえ、怖くない?」
私 「でも、矢田さんも篠木さんもいい人だよ」
明日花「まぁ、そうかもしれないけどさ、、」
まだ、何かを言いたそうにしていた。
私 「何?」
明日花「優衣ってさ、何でも決めつけすぎなんじゃない?」
昔、どこかで言われたことのあるセリフだった。
私 「‥‥」
明日花「確かに、その2人はいい人だと思うけどさ、いい人だと決めつけてるが故に、そうじゃなかった時の反動が大きいんじゃない?」
何も言い返すことがなかった。
明日花「別に、決めつけたり断定することが悪いとは思わないよ。でも、優衣はさ、その反動が大きくて感情の波がゆれちゃうんじゃない?」
私 「そうなんかな?」
明日花「みんなさ、人には言えない事情があるんだと思うんだよね。同じ景色を見てもさ、背負ってるものによってさ見え方って大きく変わるんだよ。あの日のことも」
"あの日のこと"
私 「‥‥」
明日花「そう言われても困るかぁ。ハハハ」
笑って私の方をみた。
私 「明日花にとって、あの日のことはどうなの?」
明日花「私にとってかぁー」
私は、明日花の顔を見つめた。
明日花「私にとっては、優衣と真波の2人がとられた悲しい日だよ」
私 「とられたの?」
明日花「うん。とられた」
独特な表現だ。
私 「明日花にとっては、私たちがケンカしてたら大変だもんね」
明日花「そりやぁね。仲良くしてほしいよ。また、みんなとも集まりたいし」
明日花の本音が少し、こぼれた瞬間だった。
私 「明日花は、真波との連絡とるの?」
明日花「うーん。あの日から、あんまりとらなくなったけどね」
"あの日のこと"は、私たちだけでなく、明日花の人生にも大きく関わっていた。




