1月22日 誕生日
今日は、いつもより気持ちがいい朝だった。18度目の誕生日を迎えた。18度目の誕生日は、明日花からの連絡とともに目が覚めた。続くように、実咲、陽菜乃も送ってくれた。
ただ、午後17時を過ぎても、真波からの連絡はなかった。話しているといえども、まだ、私たちには大きな溝があることに気付かされた。
それも、そのはず。真波の彼氏である"橋本涼太"は、私が高校生で唯一好きだった人。橋本とは、高校1年生で同じクラスになり、一気に距離を縮めた。橋本は、野球部で私も野球好き。さらに、弟の優聖が野球部に入っていたことも影響している。
橋本は、優聖の野球センスをとても褒めてくれていた。たしかに、優聖は、中学校時代に、江陵高校や道和高校など野球の名門校からもスカウトがきていたほど。ただ、地元の高校で甲子園を目指すと意気込んでいた。優聖は、野球は上手いが、態度が悪い。先輩に対する接し方にも問題があると言われているらしい。
そんな優聖を温かく見守ってくれたのが、橋本と健太郎だった。健太郎は、昔からのつきあいだったが、橋本は、4月から一緒になったただの後輩。そんな優聖に優しくしてくれる橋本の性格に惚れたのだ。聖徳高校は、よくグラウンドで他校と練習試合をしており、私もたまに見ていた。高校2年の時。当時、2年生から試合に出ていた橋本の様子を忘れることはできなかった。0対3で迎えた聖徳高校の攻撃。2死満塁で橋本に打席が回ってきた。
ネクストバッターサークルに入る前から、健太郎や橘と話をしていた。近くで聞いていると、なんと予告ホームラン。入る前は、まさかと思っていた。しかし、打席にみる橋本は、普段とは別人だった。ただならぬオーラが出ており、相手投手もビビっていた。そのため、ストライクが入らない。ノーストライクスリーボールとなり、無理やりストライクをとりにいったボールをレフトスタンドへと運んでいった。逆転サヨナラ満塁ホームランでチームを見事勝利へと導いた。
橋本に惚れてしまった瞬間だった。
その橋本が、真波と付き合っていると気づいたのは高校2年の時。2年生から違うクラスになったが、ずっと連絡はとり続けていた。しかし、恋愛の話をしている時に、たまたま真波が好きで付き合ったことを知らせてくれた。
嬉しいようで、悔しいようだった。辰巳に加えて橋本もとられたことは、本当に絶望的だった。あの頃と比べると、少しは大人になれたと感じた18歳の誕生日だった。




