神様、魔改造2
ファントムの胸部を開いて先ず魔素量の増畜から始める。ファントムの様子を見ながら術式を埋め込んでいく。
「ファントム?痛くないか?」
「痛くは御座いません。ただ少しくすぐったい感じは致します」
「痛くないなら良かった。魔素量の増畜はもう少し掛かりそうだから暇だと思うけど待ってくれ」
「構いません。続けて下さい」
術式展開、魔素量増畜、反転効果付与…結構時間掛かるな。額に汗をかきながら続ける。
2時間程して付与が終わった。ロキはファントムの体調を気にかけ伺う。
「今ん所身体に変化は無いか?」
ファントムは、
「私が元々闇の眷属だったからでしょうか?核に神気の感じがするのですが…これは一体?」
ファントムは仰向けで目を瞑って胎内の魔力を循環させてるのかそう応えた。
「あれ?ファントムってもしかして魔素量の増畜だけだと思ってたか?聖魔混合の結界張れるようにしないとだから神気も取り込まないとじゃん」
「成程。理解致しました」
納得した様だ。次の作業に掛かる。
「次は聖魔混合の結界張れるように反転術式を施していくからまたリラックスしててくれ」
「畏まりました」
仰向けで寝転んで目を瞑っているファントムの開いてる胸部の核を傷付け無い様に聖魔混合術式を展開、闇の力をリセットからの聖魔混合術式を上書き…くっ、少しキツイな。半分位済ませた所でファントムに問い掛ける。
「ファントム、すまん。魔装具付けた状態だとファントムの能力が元々高い所為なのか力が足りない。アクセサリー外してもう一度挑戦するから待ってて」
「それは構いませんが…今の私にはそれ程の力があるのですか?」
「さっき底上げしたからな前の比じゃない位の力は付いてるぞ」
「左様で御座いますか…旦那様の役に立てる力なら構いません。どうぞお力を解放して下さい」
そう言われたので指輪やカフス等のアクセサリーを収納袋に入れておく。
「これで全開で改造出来るから安心しろ」
「旦那様の事を疑ってはおりませんよ」
くすくす笑うファントム。それでは仕上げ迄頑張りますか。俺の魔力を核に注いでいく。ファントムの身体が金の粒子で包まれる。仰向けで目を瞑っているファントムは、
「何だか温かくてとても落ち着く様な安心感があります」
と応えた。俺の神気って癒し効果でもあんのか?魔石にも俺の神気込めてるけど、アレにも疲労回復効果あるってサタンが言ってたしな。
「ファントム、それ多分俺の魔力の所為かも…前にサタンに渡した俺の魔石にも疲労回復効果あるって言ってたから関係あると思う」
「いえ、優しい感じで嫌な気は一切無いので私は構いません」
「それならもう少し我慢しててくれ」
少しずつ馴染ませる様に魔力を注いでいく。30分程魔力を注いだだろうか。ファントムの身体に神気と魔素両方が馴染んだのを審美眼の片眼鏡で確認してからファントムの胸部を閉める。
「完成したから起き上がっていいぞ」
「承知致しました」
ゆっくり起き上がり寝台に腰を落ち着けて掌を握ったり開いたり目を瞑って魔力を循環させたりしている。
「これは…」
「初めての魔改造にしては良く出来ただろ?」
ファントムは笑みを浮かべ寝台から降り跪く。
「旦那様、流石で御座います」
「畏まるのは辞めてくれ…不備は無さそうか?」
「はい。以前よりもかなり力の発動、巡りが良くなってます」
「んじゃ、試しに結界張ってみようか?俺の張ってる結界消すから」
ロキは指をパチンと鳴らすとキーンと耳鳴りの様な音の後さらさらさらと流れる様に空気が変わった。結界が解けた様だ。
「それじゃあ、ファントム試しに結界張ってみてくれ」
「承りました」
そう言い掌を合わせてファントムは集中する。
「行きます」
ぶわっと魔力の波動が波打つ。初めてにしては広範囲且つ高密度の聖魔混合の結界が張れたみたいだ。
「どうでしょうか旦那様?」
「確認してみる」
ロキが魔眼で千里眼と観察眼を併用で発動させて最終チェック。
「ん、俺の結界とほぼ互角の結界だ。後は亜空間対策が出来てるかのチェックだな」
ロキは掌を翳して空間を割こうとするが出来なかった。
「完璧だファントム」
ファントムを労う。
「本当で御座いますか?!」
嬉しそうなファントム。これで屋敷の事はもう心配ないな。
「ファントム着替えたらアトリエに戻ろう」
「畏まりました」
ファントムは畳んでいた服を着て俺の後を付いてくる。俺は研究室の戸締まりをしてファントムとアトリエに向かう事にした。