神様、魔改造
ファントムに連絡を取る。アトリエ内の仕事は基本任せても居るから一応。
『ファントムー?今からそっち行くけど進捗聴いてもいいか?』
『旦那様の手を煩わせる依頼等は御座いませんよ。ですからゆっくりお越し下さって構いませんよ』
『了解。取り敢えず歩いて向かうわ』
『畏まりました』
思念伝達を終えて廊下を歩いてたロキ。この前老神龍と神龍のお陰で仕事捗ったしなぁ…あ!ポセイドンのおっちゃんの依頼も終えてたなそう言えば。また老神龍を喚んで行かせないと…そうこう考えてたらアトリエに到着。
「ファントム依頼の中の発送出来る品物は送り済みか?」
「勿論手配済みで御座います」
「爺の第一夫人のアクセサリーもか?」
「万事仰っしゃってた通りに送り済みで御座います」
そうか、それなら老神龍を顕現させるか。
「顕現せよ老神龍」
ふわりと金の風が舞スっと佇むロマンスグレーなおじ様老神龍。
「主よ大変な目に遭っていたようじゃの」
ふぉっふぉっふぉっと笑う老神龍。神獣達とは意識の疎通が出来ているので状況を見ていた様子。
「開口一番にその件かよ…今度から気を付けないとなぁとは思ってるけど俺って魔性を落とす呪いでも掛かってんのかな?」
「主が冗談を言うとはおかしな事よ。無論光ある所に虫が寄るのは仕方あるまい」
笑う老神龍。俺は溜め息を吐く。
「所で老神龍を喚んだのはポセイドンのおっちゃんの所に行って欲しいからなんだけど」
老神龍は分かってたかの様に、
「承知しましたぞ。品物はどらでじゃ?」
「コレ」
カウンターの引き戸にしまってた海の宝玉の入った箱を取り出す。梱包済みだ。
「前持って帰ってきた品ですな。修理は終えてるおるのか?」
「勿論よ?だからこう梱包してるんじゃん」
「でも、主よ。忘れていると思われますがポセイドン様は海に居らっしゃるのですぞ?梱包の意味があるのか否か不思議なんじゃが」
「この梱包材防水よ?」
老神龍は少し驚きすぐいつもの表情に戻る。
「流石主じゃ。ならばコレを持って行けば宜しいのですな?」
「話早くて助かる。すぐ行けるか?」
「勿論じゃとも。それでは行って参る」
老神龍は品物を受け取るとアトリエの扉から出て行った。チリンと静かに鳴るドアベルを見送るロキとファントム。
「ファントムコレで依頼終わりか?」
ファントムは書類に目を通して、
「えぇ、ポセイドン様の品物で発注の方はもう御座いません」
「それならさ、ファントムちょっと付き合ってくんねぇ?」
「旦那様からのお誘いとは珍しいですね。如何なされましか?」
「いや、最近キャリーが攫われた件があるじゃん?」
「はい。誠に申し訳無い限りで御座います」
「いや、ファントムは悪くねぇよ?ただ亜空間使いの手の者の配慮が足りなかったなって反省してんだよ俺も」
「左様で御座いますか」
「んで、キャリーが見付けた希少な植物の実験台になって貰おうかなって相談だ」
「旦那様が仰るのでしたら私に拒否権は御座いません」
「だよな。実験台って行っても少し研究室に行って胎内調整してから核にキャリーの研究した植物の特性を組み込もうかと思ってな」
「旦那様にお任せします」
「それなら研究室に向かうぞ」
「畏まりました」
ファントムと2人で地下の金庫の隠し部屋にしている研究室に行く事にした。
ファントムと2人で研究室に向かう途中で掃除をしているキャリーを見掛けた。
「ファントム、ちょい待ち。キャリーに一声掛けてもいいか?」
「構いませんよ旦那様」
俺はキャリーに近付いて声を掛ける。
「キャリー?掃除の所悪い」
キャリーはコチラに気付き手を休ませて話を聞く体勢になった。
「何ですか旦那様?」
「キャリーがこの前俺らの隣の部屋で研究してた植物の特性について聞きたいのだが」
「それでしたらコチラに纏めたレポートが御座いますのでご覧下さい!!」
とキャリーが身を乗り出してきた。
「お、おぅ。サンキュー」
渡されたレポートは50枚くらいあった。本当に植物の研究好きだな。
「旦那様?御用はそれだけですか?」
「あぁ、悪かったな邪魔して」
「いえ!旦那様に仕える事がアタシ達この屋敷で働く者の喜びで御座います。お気に滅さらないでください」
「分かった」
そう言いレポートを貰いファントムと研究室に向かう。キャリーは作業に戻った様だ。
地下の金庫に進むとファントムが感嘆の声を上げる。
「ルシエラ様が自分の研究室が隠されたと嘆いてましたがこんなに大きな金庫にしていたとは流石旦那様です」
「ルシエラ嘆いてたのか?研究室の事は物凄 くボヤいてたけど嘆くまでの事とは思って無かった。でも、ルシエラ以外もう何も創り出す気ないから気にしなくて良いのにな」
「旦那様はそう仰りますがルシエラ様にとっては初めて実体化出来た部屋ですから愛着があるのでしょう」
そうなのかなぁ?まぁ、いいや。
「それじゃ研究室への解錠するわ。『音声認証ロキ研究室への扉』」
床がゴゴゴと揺れる。数秒待つと目の前に赤い扉が現われた。
「ファントム行くぞ」
「畏まりました旦那様」
俺の後を付いてくるファントム。あ!そうだ。
「ファントム?亜空間対策に胎内調整をしてから診て核に情報植え付けるけど能力アップもしとく?」
一本行っとく?的な感じにファントムに問いかけるロキ。
「私が能力アップですか…悩ましい案件で御座いますね」
「まだ悩んでくれてていいよ?取り敢えず研究室の中に入ろう」
「はい」
すたすたと歩いていくロキとファントム。いやぁ久しぶりに研究室来たな。取り敢えずする事は…
「ファントム、執事服の上着とカッターシャツ脱いでそこの診台に仰向けでもうつ伏せでもいいから寝てくんねぇ?」
「承知致しました」
カフスボタンやシャツのボタンを外して服を脱ぐファントム。仰向けで寝てくれた。ロキは片眼鏡の審美眼を付けてファントムの目を凝らして見ないと分からない様な心臓側の胸の下辺りの窪みに手を掛け胸部を開ける。ファントム達屋敷の住人はルシエラ以外基本的に痛覚が無い。核が心臓の辺りにある。ゴーレムとAIの掛け合いだから痛覚余り無いのかなとも考えたけど痛いと感じる時もあるらしいが余っ程の事では動じない。
「胎内調整は良いみたいだ。核に澱みも無い。それじゃあ核に亜空間対策の能力付けるな?」
「畏まりました」
気を使いながら核に仕込みをしていく。キャリーのレポートを片手に見ながら副作用は無いかも確認した。
「所でさっきの話どうする?」
ファントムに問い掛けるロキ。ファントムは、
「どの様な能力かお聞きしても構いませんか?まだ悩んでおりまして…」
「ん?ファントム闇の眷属だろ?この前セーレの件で俺聖魔混合の結界張ったじゃん?その時にファントムにも使えたら良いなぁって思ってソレを付与する予定…ちょっと時間掛かるけど」
「私に聖魔混合の結界を張る技術を埋め込むのですか…?ですが私の力では屋敷全体を覆う事は不可能ではないでしょうか?」
「だから能力アップって言ったじゃん。魔素量の増蓄も増やすから時間掛かるんだよ」
「私にそこ迄なさるのは何故でしょうか旦那様」
「ファントムが俺に少しでも近付いて頼りになってくれたら嬉しいからだけど?」
「勿体なきお言葉。私も頼られるのは嬉しいので是非その様に改造して下さい」
「了解。一先ずルシエラに時間掛かる事伝えておくわ。『ルシエラ今裁断室に居るんだよな?』」
『そうですけどどうかしましたか?』
『少しファントムの魔改造するから多分結構時間掛かると思ってな。飯時迄掛かるかもだから先に食堂でセーレと食べて居てくれて構わないって伝えようかと思って』
『魔改造?』
『この前のシトリーの件で思い付いた事をファントムに試してるんだよ。亜空間対策な?それに足して魔素量増畜と聖魔混合の結界張れる様に改造』
『分かりました!食堂に来なかったらセーレさんにも伝えておきます』
『ありがと。寝る迄には終わると思うから…悪ぃな』
『構いませんよ!ロキ様頑張って下さいね』
『勿論』
思念伝達を終えてファントムに了承を得た事を伝える。
「旦那様の負担になりませんか?」
「そこんとこは大丈夫だから安心しろ。それなら始めるぞ」
ロキはファントムの胸部を開いて見ていた。




